マタイ傳聖福音(新契約聖書) 第一章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第一章[編集]

1 アブラハムの子、ダビデの子、イエスキリストの系圖の卷。
2 アブラハムはイサクを生めり。またイサクはヤコブを生めり。またヤコブはユダとその兄弟等を生めり。
3 またユダはタマルにてパレスとザラとを生めり。またパレスはエスロムを生めり。またエスロムはアラムを生めり。
4 またアラムはアミナダブを生めり。またアミナダブはナアソンを生めり。またナアソンはサルモンを生めり。
5 またサルモンはラハブにてボアズを生めり。またボアズはルツにてオペデを生めり。またオベデはエッサイを生めり。
6 またエッサイはダビデ王を生めり。またダビデ王はウリアの女性にてソロモンを生めり。
7 またソロモンはロボアムを生めり。またロボアムはアビアを生めり。またアビアはアサを生めり。
8 またアサはヨサパテを生めり。またヨサパテはヨヲムを生めり。またヨラムはオゼアを生めり、
9 またオゼアはヨアタムを生めり。またヨアタムはアカズを生めり。またアカズはエゼキアを生めり。
10 またエゼキアはマナッセを生めり。またマナッセはアモンを生めり。またアモンはヨシアを生めり。
11 またバビロンに移さるる時に當りて、ヨシアはエコニアとその兄弟等とを生めり。
12 かくてバビロンに移されし後、エコニアはサラテエルを生めり。またサラテエルはゾロバベルを生めり。
13 またゾロバベルはアビウデを生めり。またアビウデはニリアキムを生めり。またエリアキムはアゾルを生めり。
14 またアゾルはザドクを生めり。またザドクはアキムを生めり。またアキムはエリウデを生めり。
15 またエリウデはエレアザルを生めり。またエレアザルはマッタンを生めり。またマッタンはヤコブを生めり。
16 またヤコブはヨセフ、卽ちマリアのをっとを生めり。その〔マリア〕よりキリストと云はるるイエスは生まれ給へるなり。

17 是の故にアブラハムよりダビデに至るまで、すべてだいを經ること〔正に〕十四ン代。またダビデよりバビロンに移さるるまで〔正に〕十四ン代。またバビロンに移されてよリキリストに至るまで〔正に〕十四ン代〔なり〕。

18 またイエス・キリストの出生はかくありき。その母マリアはヨセフに婚約せしが、彼等の一處になるに先立ちて、彼は聖靈にて孕みしことを見出だされたり。
19 然るにヨセフ、彼のをつとは義しき者ながら、公に彼を辱しむることを欲せず、密かにこれを去らんと思へり。
20 また此等の事を思ひめぐらししとき、見よ、主の使夢にて現はれ、云ひけるは、ダビデの子ヨセフよ、マリア、汝の妻を取ることを懼るる勿れ、そはその生まるるは聖靈にてなればなり。
21 また彼は子を産まん、また汝はその名をイエスと呼ばん。そは彼はその民を彼等の罪より救ひ給ふべければなり。
22 卽ち是れ全く豫言者によりて、主より謂はれしことの成就せらるるためにおこれるなり、云ひ給ひけるは、
23 見よ、處女をとめはらみて子を産まん。かくてその名をイマヌエルと呼ぶべし、卽ち譯すれば、我等のうちにおはす神なり。
24 乃ちヨセフは眠より起きて、主の使の言ひ附けし如く爲して、その妻を取りたり。
25 されど彼はその子、長子を彼の産みしまで、彼を知らざりき。かくて彼はその名をイエスと呼べり。