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コリント人に贈れる使徒パウロの書状第二(新契約聖書) 第四章

提供:Wikisource
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第四章

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1 此のゆゑに我等愍を蒙りて此の奉事を得たれば、落膽せず、
2 反つて耻づべき隱れたる事を棄て、惡しき巧に歩まず、神の言を譎らず、されど眞理を顯はして神の面前にて、己白らをすべての人の良心に薦むるなり。
3 されど我等の福音もしおほはるるならば、亡ぶる人に對して被はるるなり。
4 彼等に於て此の世の神は、その信なき人々の所存を盲にして、神の形なるキリストの榮光の福音の光を照らさざらしむるに至りしなり。
5 そは我等は己自らを宣ぶるにあらず、されどキリスト・イエスの主なること、また我等はイエスのゆゑに、汝等の奴僕ぬぼくなることを〔宣ぶ〕ればなり。
6 そは光に、闇より輝き出でよ、とのたまひし神、彼はイエス・キリストの顏にある、神の榮光〔を知る〕の知識の光のたあに、我等の心のうちに輝き給ひたればなり。

7 されど我等は此の寶を土の器のうちに有つなり、これ優れたる力は神のものにして、我等のものにあらざらんためなり。
8 我等到る所にてくるしみを受けたれど窮せず、詮術つきたれども望を失はず、
9 迫害せられたれども見捨てられず、倒されたれども亡びず、
10 毎に主イエスの死を體にて搬び廻るなり。是れイエスのいのちの、我等の體に顯はさるるためなり。
11 そは生ける者なる我等は、毎にイエスのゆゑに死にわたさるればなり。是れイエスの生の、我等の死ぬべき身に於て顯はさるるためなり。
12 されば死は我等のうちに働き、いのちは汝等のうちに〔働くなり〕。
13 されば我は信ぜり、かるが故にものがたれり、と録されたるが如く、同じ信仰の靈あれば我等も信ず、かるが故にものがたるなり。
14 〔これ〕主イエスを起し給ひし者は、我等をもイエスによりて起し給ひ、且つ汝等とともに立たしめ給ふべきことを知ればなり。
15 そはすべての事は汝等のゆゑなればなり、是れ惠の増し加へられ、多くの人によりて神の榮光〔となるに至る〕まで、感謝に溢れしめんためなり。

16 かるが故に我等は落膽せず、假令我等の外なる人は壞るるとも、内なる〔人〕は日にまた日に新なり。
17 そは我等の〔受くる〕輕き艱の束の間は、我等のために優れに優れたる、重き榮光のとこしへを釀せばなり。
18 我等の鑒みるところは視ゆるものにあらず、されど視えぬものなり。そは視ゆるものは暫時なれども、視えぬものはとこしへなればなり。