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コリント人に贈れる使徒パウロの書状第二(新契約聖書) 第十章

提供:Wikisource
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第十章

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1 またパウロ、われ汝等のうちにては、顏に循ひては如何にも卑しく、されど離れ居りては、汝等に對して勇ましき者、自らキリストの柔和と寛容とをもて汝等に勸む。
2 されどわれ願ふ、我等を肉に循ひて歩む如く勘ふる者に對しては、われ必ず勇敢にせんと勘ふるところの確信をもて、我の居合はすときに勇ましからざらんことを。
3 そは我等は肉に在りて歩めども、肉に循ひて戰はざればなり。
4 そは我等の戰の武器は肉なるものにあらず、されど砦を覆へすべく、神の前に力あるものなればなり。
5 〔卽ち〕諸の論と、神の知識に逆らいて舉げたるすべての高きものとを覆へし、またすべての所存を擄にして、キリストに順はしむ。
6 且つ汝等の順を成就したるとき、すべての不順に報ゆべき備あり。

7 汝等は顏に循ひて物を視るか。もし誰か己自らをキリストのものたるべく確信せば、彼をしてかく彼がキリストのものなるが如く、その如く我等もキリストのものなり、と復た勘へしめよ。
8 そは假令主が汝等を覆へすためにあらずして、建つるために我等に與へ給ひし我等の權に就きて、尚ほ勝りて多少誇るとも、耻を受くべきにあらず。
9 是れ我は書状によりて、汝等をおどすが如く思はれざらんためなり。
10 そは書状は如何にも重々しく且つ强し、されど體の到來は弱く、書は取るに足らず、と彼述ぶればなり。
11 かくの如き者は我等が居合はすときにはわざに於ても、離れ居りて書状によりて、言に於てあるが如き者なり、とかく勘ふべし。

12 そは我等は敢て己自らを薦むる人々と己自らを竝べ、或ひは較ぶることをせず、されど彼等は己自らをもて己自らを量り、また己自らを己自らに較べて悟らざればなり。
13 また我等は量を越したる事のために誇らず、されど神が我等に頒ち給ひし、汝等にまでも及べるのりの量に循ふなり。
14 そは我等は汝等にまで及ばざる者の如くに、〔量を越えて〕己自らを延ばさざればなり。そは我等はキリストの福音をもて、汝等にまで到りたればなり。
15 我等は量を越えたる事のために、他人の勞をもて誇るにあらず、されど汝等の信仰の、我等ののりに循ひて彌増さり、汝等のうちに増々大にならんことを望みてなり。
16 他人ののりをもて、〔既に〕備はりたる事のために誇るにあらず、汝等を越えたる處にまで福音を宜傳へんとてなり。
17 されば誇る者は主に在りて誇るべし。
18 そはとせらるる者、彼は己自らを薦むる者にあらず、されど神の薦め給ふ者なればなり。