新譯日本書紀 (飯田弟治訳)/卷第一

p.1-36 神代上

神代上

神代七代（かみよなゝよ）の章（しやう）

　古（いにし）へ、天地（あめつち）未（いま）だ剖（わか）れず、陰陽めを）分かれざるとき、渾沌（まろかれ）たること鶏子（とりこ）の如く、溟涬（くゝも）りて牙（きざし）を含（ふく）めり。其（そ）の淸（す）み陽（あきら）かなる者（もの）は、薄靡（たなび）きて天（あめ）となり、重（おも）く濁（にご）れる者（もの）は、淹滯（つゝ）きて地（つち）に爲（な）るに及（およ）びて、精（くは）しく妙（たへ）なるが合（あ）へるは搏（あふ）ぎ易（やす）く、重（おも）く濁（にご）れるが凝（こ）れるは竭（かたま）り難（がた）し。故（か）れ天（あめ）先（ま）づ成（な）りて、地（つち）、後（のち）に定（さだ）まる。然（しか）して神聖（かみ）、其（そ）の中（なか）に生（あ）れます。
　故（か）れ曰（いは）く。開闢（あめつちわか）るゝ初（はじ）め、洲壞（くにつち）、浮（うか）れ漂（たゞよ）へること、譬（たと）へば猶（な）ほ游魚（あそぶうを）の水（みつ）の上（うへ）に浮（う）けるが如（ごと）し。于時（そのとき）、天地（あめつち）の中（なか）に一（ひとつ）の物（もの）生（な）れり。狀（かたち）、葦牙（あしかひ）の如（ごと）し。便（すなは）ち化爲（なり）ませる神を國常立尊（くにのとこたちのみこと）と號（まを）す。次（つぎ）に國狹槌尊（くにのさつちのみこと）。次（つぎ）に豊斟渟尊（とよくみぬのみこと）。凡（すべ）て三神ます。至貴を尊と曰ひ 自餘を命と曰ふ

一書（しょ）に曰（いは）く。天地（あめつち）、初（はじ）めて判（わか）るゝとき、一の物（もの）虛中（おほそら）に在（な）れり。狀貌（かたち）言（い）ひ難（がた）し。其（そ）の中（なか）に自（おのづ）から化生（なりいづ）る神（かみ）あり。國常立尊（くにのとたちのみこと）と號（まを）す。また國底立尊（くにのそこたちのみこと）と曰（まを）す。次（つぎ）に國狹槌尊（くにのさつちのみこと）。また國狹立尊（くにのさたちのみこと）と曰（まを）す。次（つぎ）に豊國主尊（とよくにぬしのみこと）。また豊組野尊（とよくみぬのみこと）と曰（まを）す。また豊香節野尊（とよかふぬのみこと）と曰（まを）す。また浮經野豊買尊（うきふぬとよかひのみこと）と曰（まを）す。また豊國野尊（とよくにぬのみこと）と曰（まを）す。また豊囓野尊（とよくひぬのみこと）と曰（まを）す。また葉木國野尊（はこくにぬのみこと）と曰（まを）す。また國見野尊（くにみぬのみこと）と曰（まを）す。

一書に曰く。古（いにし）へ、國（くに）稚（わか）く地（つち）稚（わか）かりし時、譬（たと）へば浮（うか）べる膏（あぶら）の如（ごと）くにして漂蕩（たゞよ）へり。其時（そのとき）、國（くに）の中（なか）に物（もの）生（な）れり。狀（かたち）、葦牙（あしかひ）の抽（ぬ）け出（いで）たるが如（ごと）し。此（これ）に因（よ）りて化出（なりい）づる神（かみ）あり。可美葦牙彦舅尊（うましあしかひゝこぢのみこと）と號（まを）す。次（つぎ）に國常立尊（くにのとこたちのみこと）。次（つぎ）に國狹槌尊（くにのさつちのみこと）。

一書に曰く。天地。混成（まろか）れなりし時、始（はじめ）て神人（かみ）います。可美葦牙彦舅尊（うましあしかひゝこぢのみこと）と號（まを）す。次に國底立尊（くにのそこたちのみこと）。

一書に曰く。天地、初めて判（わか）るゝ時、始めて倶（とも）に生（なり）いづる神あり。國常立尊（くにのとこたちのみこと）と號（まを）す。次に國狹槌尊（くにのさつちのみこと）。又曰く。高天原（たかまのはら）に生（あ）れます神（かみ）の名（みな）を、天御中主尊（あまのみなかのぬしのみこと）と曰（まを）す。次に高皇産靈尊（たかみむすびのみこと）。次に神皇産靈尊（かむみむすびのみこと）。

一書に曰く。天地、未だ生（な）らざる時譬（たと）へば猶ほ海上浮（うか）べる雲（くも）の、根（ね）係（かゝ）る所（ところ）無（な）きが如し。其の中（なか）に一つの物生（な）れり。葦牙（あしかひ）の初（はじ）めて泥（ひじ）の中に生出（おひいで）たるが如し。便（すなは）ち化（な）りませる人（かみ）を、國常立尊（くにのとこたちのみこと）と號（まを）す。

一書に曰く。天地、初めて判（わか）るゝ時、物あり葦牙（あしあひ）の若（ごと）く空（そら）の中に生（な）れり。此に因りて化（な）る神を、天常立尊と號（まを）す。次に可美葦牙彦舅尊（うましあしかひゝこちのみこと）。又、物あり、浮べる膏（あぶら）の若（ごと）くにして、空の中に生（な）れり。此に因りて化（な）る神を國常立尊と號（まを）す。

　次（つぎ）に神（かみ）有（いま）す。埿土煑尊（うひぢにのみこと）。沙土煑尊（すひぢにのみこと）《亦（また）曰（いは）く。埿土根尊（うひぢねのみこと）。沙土根尊（すひぢねのみこと）》次（つぎ）に神（かみ）有（いま）す。大戸之道尊（おほとのぢのみこと）。《一に云（いは）く。大苫邊尊（おほとのべ）。亦た曰く。大戸摩彦尊（おほとまひこのみこと）。大戸摩姫尊（おほとまひめのみこと）。亦た曰く。大富道尊（おほとむぢのみこと）。大富邊尊（おほとむべのみこと）》次に神有（いま）す。面足尊（おもたるのみこと）。惶根尊（かしこねのみこと）。《亦た曰く。吾屋惶根尊（あやかしこねのみこと）。亦た曰く。吾忌橿城尊（あゆかしきのみこと）。亦た曰く。青橿城根尊（あをかしきねのみこと）。亦た曰く吾屋橿城尊（あやかしきのみこと）》次に神有（いま）す。伊弉諾尊（いざなぎのみこと）。伊弉册尊（いざなみのみこと）。《一書に曰く。此の二神は青橿城根尊（あをかしきねのみこと）の子（みこ）なり。一書に曰く。國常立尊（くにのとこたちのみこと）は天鏡尊（あめかゞみのみこと）を生（な）し。天鏡尊（あめかゞみのみこと）は天萬尊（あめよろづのみこと）を生（な）し。天萬尊（あめよろづのみこと）は沫蕩尊（あわなぎのみこと）を生（な）し。沫蕩尊（あわなぎのみこと）は伊弉諾尊（いざなぎのみこと）を生（な）しませり》。凡（すべ）て八神ます。國常立尊（くにのとこたちのみこと）より、伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）まで、是を神代七代（かみよなゝよ）と謂ふ。

一書に曰く。男女耦生（たぐひな）る神は、先づ埿土煑尊（うひぢにのみこと）。沙土煑尊（すひぢにのみこと）有（いま）す。次に角樴尊（つぬくひのみこと）。活樴尊（いくくひのみこと）有（いま）す。次に面足尊（おもたるのみこと）。惶根尊（かしこねのみこと）有（いま）す。次に伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）有（いま）す。

八州起源（しうきげん）の章（しやう）

伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）。天浮橋（あまのうきはし）の上（うえ）に立（たゝ）して、共に計（はから）ひて曰（のたまは）く。底（そこ）つ下（した）に豈（あ）に國（くに）無からめやと。廼（すなわ）ち天瓊矛（あまのぬほこ）を以（も）て、指下（さしおろ）して探（さぐ）りましゝかば、是（こゝ）に滄溟（あをうなばら）を獲（え）き。其の矛（ほこ）の鋒（さき）より滴瀝（したゝ）る潮（しほ）、凝（こり）て一の島と成れり。名づけて『磤馭盧島（おのころじま）』と曰（い）ふ。二神、是（こゝ）に彼（そ）の島に降居（あまくだ）りまして、共爲夫婦（みとのまくはひ）して、洲國（くにつち）を産生（うま）むと欲（おもほ）す。便（すなは）ち磤馭盧島（おのころしま）を以（も）て、國中（くにのなか）の柱（みはしら）として、陽神（をがみ）は左より旋（めぐ）り、陰神（めがみ）は右より旋（めぐ）り、國柱（くにのはしら）を分巡（めぐ）りて同（おな）じく一つ面（おもて）に會（あ）ひき。時に陰神（めかみ）、先づ唱（とな）へて曰（のたまは）く、『憙哉（あなにゑや）、遇可美少男焉（えをとこを）』と。陽神（をがみ）、悅（よろこ）びずして曰（のたまは）く。吾（われ）は是れ男子（をのこ）なり。理、當（まさ）に先づ唱（とな）ふべし。如何にぞ婦人（めのこ）の反（かへ）りて言（こと）先（さきだ）つや、事既に不祥（さがなし）。宜しく改め旋（めぐ）るべしと。是（こゝ）に二神。却（かへ）りて更に相めぐり遇（あ）ひぬ。是行（このたび）は陽神（をかみ）、先づ唱へて曰く。憙哉（あなにゑや）、遇可美少女焉（えをとめを）。と因りて陰神（めがみ）に問（と）ひて曰く。汝（いまし）が身、何の成れるところか有る。對へて曰く。吾（あ）が身に雌（め）の元（はじめ）といふ處あり。陽神（をがみ）曰く。吾（あ）が身に亦た雄（を）の元（はじめ）といふ處ありと。爾（し）か云ひて是（こゝ）に陰陽（めを）、始めて遘合夫婦（みとのまくはひ）しき。産（こう）む時に及至（いた）りて、先づ淡路洲（あはぢしま）を以（も）て胞（え）として、廼（すなは）ち大日本豊秋津洲（おほやまととよあきつしま）を生む。次に伊豫（いよ）の二名洲（ふたなのしま）を生む。次に筑紫洲（つくしのしま）を生む。次に億岐洲（おきのしま）と佐度洲（さどのしま）とを雙（ふたご）に生む。次に越洲（こしのしま）を生む。次に大洲（おほしま）を生む。次に吉備子洲（きびのこしま）を生む。是（これ）に由りて『大八洲國（おほやしまくに）』の號（な）起（おこ）れり。即ち對馬島（つしまのしま）、壹岐島（いきのしま）、及び處々の小島は、皆是れ潮（しほ）の沫（あわ）の凝（こ）りて成れる者なり。亦たは水の沫（あわ）の凝りて成れるとも曰（い）ふ。

一書に曰く。天神（あまつがみ）。伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）に謂曰（のりたまは）く。豊葦原（とよあしはら）の千五百秋瑞穗地（ちいほあきのみづほのくに）あり。宜しく汝（いまし）、往きて脩（しら）すべしと。廼（すなは）ち天瓊戈（あまのねほこ）を賜ふ。是（こゝ）に二神、天上浮橋（あまのうきはし）に立（たゝ）して、戈（ほこ）を投（さしおろ）して地（くに）を求む。因りて滄海（あをうなばら）をかきならして引き舉ぐるとき、即ち戈（ほこ）の鋒（さき）より垂（したゝ）り落（おつ）つ潮（しほ）、結（こ）りて島と爲る。名を磤馭盧島（おのころじま）と曰ふ。二神、彼島（そのしま）に降（くだ）り居（ま）して、八尋（やひろ）の殿（との）を化立（みた）て、又天（あま）の柱（みはしら）を化竪（みた）つ。陽神（をかみ）、陰神（めかみ）に問ひて曰く。汝（いまし）が身に何の成れるところかある。對へて曰く。吾（あ）が身に、具成（なりなり）て、陰（め）の元（はしめ）と稱（い）ふ者一處（ところ）あり。陽神（をがみ）の曰く、吾（あ）が身に、亦た具（な）り成りて陽（を）の元（はしめ）と稱（い）ふもの一と處あり。吾（あ）が身の陽元（をのはしめ）のところを以（も）て、汝（な）が身の陰元（めのはしめ）のところに合せんと思ふと。爾（し）か云ひて、即ち天（あま）の柱（みはしら）を巡（めぐ）らむとして、約束（ちぎ）りて曰く。妹（いろと）は右より巡（めぐ）れ、吾（あ）は當（まさ）に左より巡（めぐ）らむと。既（すで）にして分れ巡りて相遇（あひ）たまひぬ。陰神（めがみ）、先づ唱（とな）へて曰く。姸哉（あなにゑや）、可愛少男歟（えをとこを）。陽神（をかみ）、後（のち）に和（こた）へて曰く。姸哉（あなにゑや）、可愛少女歟（えをとめを）と。遂に夫婦（みとのまくはひ）して、先づ蛭兒（ひるこ）産む。便ち葦船（あしぶね）に載せて流（はな）ちやりき。次に淡洲（あはしま）を生む。此れまた兒（みこ）の數に充（いれ）ず。故（か）れ還（かへ）りて復（ま）た天に上（のぼ）り詣（まゐ）でゝ、具（つぶさ）に其の狀（ありさま）を奏（まを）したまふ。時に天神（あまつかみ）、太占（ふとまに）もて占合（うらな）ひて、乃ち敎へて曰（のたま）はく。婦人（たをやめ）の辭（こと）、それ已（すで）に先づ揚（あ）げたれば乎（か）。宜しく更に還（かへ）り去（くだ）るべしと。乃ち時日を卜（うら）へて降（あまくだ）ります。故（か）れ二神、改めて復（ま）た柱（みはしら）を巡りたまふ。陽神（をかみ）は左よりし、陰神（めかみ）右よりして、既に遇（あ）ひたまふ時に、陽神（をかみ）先づ唱へて曰く、姸哉（あなにゑや）、可愛少女歟（えをとめを）。陰神（めかみ）、後に和（こた）へて曰く。姸哉（あなにゑや）、可愛少男歟（えをとこを）と。然して後に宮（みや）を同じくして、共に住（すま）ひて兒（みこ）を生む。大日本豊秋津洲（おほやまととよあきつしま）と號（なづ）く。次に淡路洲（あはぢのしま）。次に伊豫二名洲（いよのふたなのしま）。次に筑紫洲（つくしのしま）。次に億岐三子洲（おきのみつごのしま）。次に佐度洲（さどのしま）。次に越洲（こしのしま）。次に吉備子洲（きびのこしま）。此（これ）に由りて之を大八洲國（おほやしまのくに）と謂ふ。

一書に曰く。伊弉諾尊（いさなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）、二神。天の霧（さぎり）の中に立（たゝ）して曰（のたま）はく。吾（あ）れ國を得むと。乃ち天瓊矛（あまのぬほこ）を以（も）て、指垂（さしくだ）して探りしかば、磤馭盧島（おのころしま）を得たまひき。則ち矛（ほこ）を拔きて喜びて曰く。善きかも。國の在（あ）りけること。

一書に曰く。伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）二神。高天原（たかまのはら）に坐（ま）して曰く。當（まさ）に國あらむかと。即ち天瓊矛（あまのぬほこ）を以（も）て、磤馭盧島（おのころじま）を畵（か）さぐり成す。

一書に曰く。伊弉諾尊（いざなぎのみこと）、伊弉册尊（いざなみのみこと）二神。相（あひ）謂（かたら）ひて曰く。物あり、浮べる膏（あぶら）の若（ごと）し。其の中に蓋（けだ）し國有らん乎（か）と。乃ち天瓊矛（あまのぬほこ）をもて、一（ひとつ）の島をかき探（さぐ）り成す。名を磤馭盧島（おのころじま）と曰ふ。

一書に曰く。陰神（めかみ）、先づ唱へて曰く。美哉（あなにゑや）、善少男（えをとこを）と。時に陰神（めかみ）言（こと）先（さきだ）てるを以て不祥（さがなし）として、更に復た改め巡（めぐ）る。則ち陽神（をがみ）、先づ唱へて曰く。美哉善少女（あなにゑやえをとめを）と。遂に合交（みあはし）せんとして其の術（みち）を知らず。時に鶺鴒（にはくなぶり）あり。飛び來（き）て其の首尾（かしらを）を搖（たゝ）く。二神、見（みそな）はして之を學（なら）ひて、即ち交（とつぎ）の道を得つ。

一書に曰く。二神、合爲夫婦（みとのまくはひ）して、先づ淡路洲（あはぢのしま）を以て胞（え）となし、大日本豊秋津洲（おほやまととよつあきつしま）を生む。次に伊豫洲（いよのしま）。次に筑紫洲（つくしのしま）。次に億岐洲（おきのしま）と佐度洲（さどのしま）とを雙（ふたご）に生む。次に越洲（こしのしま）。次に大洲（おほしま）。次に子洲（こじま）。

一書に曰く。先づ淡路洲（あわぢしま）を生む。次に大日本豊秋津洲（おほやまととよあきつしま）。次に伊豫二名洲（いよのふたなのしま）。次に億岐洲（おきのしま）。次に佐度洲（さどのじま）。次に筑紫洲（つくしのしま）。次に壹岐洲（いきのしま）。次に對馬洲（つしまのしま）。

一書に曰く。磤馭盧島（おのころじま）を以（も）て胞（え）と爲（な）して淡路洲（あはぢしま）を生む。次に大日本豊秋津洲（おほやまととよあきつしま）。次に伊豫二名洲（いよのふたのしま）。次に筑紫洲（つきしのしま）。次に吉備子洲（きびこのしま）。次に億岐洲（おきのしま）と佐度洲（さどのしま）とを雙（ふたご）に生む。次に越洲（こしのしま）。

一書に曰く。淡路洲（あはぢしま）を以て胞（え）と爲（な）して、大日本豊秋津洲（おほやまととよあきつしま）を生む。次に淡洲（あはのしま）。次に伊豫二名洲（いよのふたなのしま）。次に億岐三子洲（おきのみつごのしま）。次に佐度洲（さどのしま）。次に筑紫洲（つくしのしま）。次に吉備子洲（きびこのしま）。次に大洲（おほしま）。

一書に曰く。陰神（めがみ）先づ唱へて曰く。姸哉（あなにゑや）、可愛少男乎（えをとこを）と。即ち陽神（をがみ）の手（みて）を握（と）りて、遂に夫婦（みとのまくはひ）して、淡洲（あはのしま）を生む。次に蛭子（ひるこ）。