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新体詩抄/抜刀隊の詩(丶山仙士)

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西洋戰の時慷慨激烈る歌を謠ひて士氣を勵まことあり即ち佛人の革命の時「マルセイエーズ」と云へる最と激烈る歌を謠ひて進撃し普佛戰爭の時普人の「ウオツチメン、オン、ゼ、ライン」と云へる歌を謠ひて愛國心を勵ませし如き皆此類り左の拔刀隊の詩即ち此例倣ひたるのなり

拔刀隊

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丶山仙士

官軍我敵 天地容れざる朝敵ぞ
敵の大將たる者は 古今無雙の英雄で
從ふつはもの 慓悍決死の士
鬼神恥ぬ勇あるも 天の許さぬ叛逆を
起しゝ者昔より 榮えし例あらざるぞ
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

皇國の風と武士の 其身を護る靈の
維新このかた廢れたる 日本刀の今更
又世に出づる身の譽 敵も身方も諸共
刃の下死ぬべきぞ 大和魂ある者の
死ぬべき時今なるぞ 後れて恥かく
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

前を望め劔なり 右も左りも皆劔
劔の山登らん 未來の事と聞きつるに
此世於てまのあたり 劔の山登るの
我身のせる罪業を 滅す為あらして
賊を征伐するが為 劔の山もんのその
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

劔の光ひらめく 雲間見ゆる稻妻か
四方打出す砲聲は 轟く雷か
敵の刃者や 碎けて玉の緒の
絶えて墓く失する身の 積みて山を
其血流れて川を 死地入るのも君が為
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

彈丸雨飛の間 二ツき身を惜ま
進む我身野嵐 吹かれて消ゆる白露の
き最後とぐるとも 忠義の為死ぬる身の
しにて甲斐あるもの 死ぬるも更
我と思ん人たち 一歩も後へ引くかれ
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

我今茲死ん身 君の為り國の為
捨つべきもの命なり 假令ひ屍朽ちぬと
忠義の為捨る身の 芳しく後の世
永く傳へて殘るらん 武士と生れた甲斐も
義もき犬と云るゝ 卑怯者とそしられそ
敵の亡ぶる夫迄 進めや進め諸共
玉ちる劔拔き連れて 死ぬる覺悟で進むべし

この著作物は、1900年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)80年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。