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ヘルプ:パブリックドメイン

提供:Wikisource
パブリックドメイン
ウィキソースに投稿するうえでどの著作物がパブリックドメインの状態にあるかを判断するために使用される方針の概要を説明いたします。アメリカ合衆国と日本国の著作権に準拠した保護期間の計算方法について説明しています。

著作権の状態について不明な点がありましたら、井戸端へお気軽にご相談ください。

ウィキソースの目的はフリーコンテントの原文を収録することであり、またその自由を侵害しなければ、自由にその内容を使えることも目的としています。従って、パブリックドメインの著作物はウィキソースが収集する主な文章の一種です。

ところで、日本語版ウィキソースでは、日本法に準拠しなければならないと考えている方は多いでしょう。これはその通りであり、受信行為がある地の多数を占めると考えられる日本国の著作権法に従わなければなりません。しかし、それのみならずウィキソースはアメリカの著作権法にも従わなければなりません。なぜならば、ウィキソースを運営するウィキメディア財団はカリフォルニア州に、サーバーはバージニア州にあるため、米国法にも準拠する必要があるからです。従って、日本語版ウィキソースにおけるアメリカ著作権法の解釈も、「著作物」(画像、文字、音声など)の扱いに大きく影響するため、パブリックドメインの判定法は日本法の規定よりも複雑です。

日本法については知っている方も多いかもしれませんが、原則として環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者の没後50年以上経過していれば、パブリックドメインとなります。

一方米国法における、アメリカ以外で公表された著作物に対する著作権の状況を確定するのは簡単ではありません。というのも、作品の所属国(それだけで少なくとも192の可能性がある)を知り、そのうえで所属国でのアップロード日ではなく1996年1月1日における著作権状況と発行年月日とを調べなければならないからです。また、所属国における1996年1月1日時点での著作物の状況を確定するためには、その国の著作権制度と著者の死亡日を確かめなければなりません。

執筆者には「自分の提供するコンテンツは少なくともアメリカ合衆国及び日本国では著作権の制限がない」ことを確かめる義務がありますが、上述のようにアメリカにおける著作権状況を確定するには作品の所属国およびその国の著作権制度を知らなければなりません。ですが、世界には190以上の国があるため、各国の著作権法を日本語版ウィキソースですべて扱うのは極めて困難です。井戸端では著作権に関する質問を受け付けていますが、著作権に関する調査の代行を依頼する場ではありませんし、投稿者および編集者の法的責任が免除または軽減されることもありません

執筆者にはさらに、できる限りコンテンツの著作権についての資料を提供する義務もあります。利用者が自分自身でアメリカ以外でそのコンテンツを再利用できるか確かめるのに必要だからです。従って、コンテンツの再利用が合法かどうかを確かめるのは利用者の義務となります。

日本の作品

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この節の内容は日本を本源国[1]とする著作物が対象です。ただし、最初の発行から30日以内に米国で発行された著作物については、米国の著作物をご参照ください。

その資料がパブリックドメインであるか否かを示すために、著作権タグをその資料の末尾に貼り付ける必要があります。パブリックドメインの著作物に対しては、条件に応じた著作権タグを使用してください(2024年現在)。

簡易版

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判定法(著作者が個人の場合)
没年月日 著作権
1945年12月31日まで ほぼ全てがパブリックドメインです[2]。{{PD-old-auto-1996}}をページの底部に貼り付けてください。
ただし作者の没後、1958年1月1日から1970年12月31日までに初発行された作品は投稿できません[3]
1946年1月1日から1967年12月31日まで 発行日が1928年12月31日までの場合はパブリックドメインです。{{PD-Japan-auto-expired}}を貼り付けてください。
1929年1月1日以降の場合は現時点では投稿できません[4]
1968年1月1日以降
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定発効時点で没後50年を経過していない)
日本において著作権が切れていないため投稿できません[5]
判定法(著作者が団体の場合)
公表日 著作権
1945年12月31日まで パブリックドメインです。発行年に応じて{{PD-Japan-auto-expired}}または{{PD-old-auto-1996}}を貼り付けてください[2]
1946年1月1日以降 不可(発行後95年)[4]

詳細版

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著作者が個人の場合
没年月日 公表年月日 著作権タグ
- 1923年12月31日 - 1928年12月31日 {{PD-old}}
- 1945年12月31日 全期間(1958年1月1日 - 1970年12月31日を除く) {{PD-old-auto-1996}}
1946年1月1日 - 1967年12月31日 - 1928年12月31日 {{PD-Japan-auto-expired}}
著作者が団体の場合
公表年月日 著作権タグ
- 1923年12月31日 {{PD-old}}
- 1928年12月31日 {{PD-Japan-auto-expired}}
- 1945年12月31日 {{PD-old-auto-1996}}

日本国外の著作物

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ここでは海外の著作物についてご説明します。具体的には、

  • 海外で発行された著作物(原文がパブリックドメインであることを確かめ、さらに訳文についてもパブリックドメインであることを確かめる必要があります)
  • 外国人が外国で発行した日本語の著作物

が挙げられます。海外の著作物も、米国および日本の著作権法に従う必要があるので、判断が難しいかもしれません。

米国の著作物

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アメリカではかつて、著作権の表示と登録がない場合は著作権が発生せず、著作権表示があっても更新手続きを怠った場合は発行後28年で消滅していました。そのため、著作権表示、著作権登録または更新手続きの欠如によりパブリックドメインである作品も存在します。ただし、日本語版Wikisouceにおいては日本の著作権法上もパブリックドメインであることを確かめなければなりません。

日本の著作権法における米国の著作物の取り扱いは難解です。まず、1906年5月10日以前に創作された作品の場合は条約上、著作権保護の義務がありません。また、万国著作権条約が日本に効力を生ずる日1956年4月28日以降の場合は日米以外の著作物と同様の取り扱いになります。しかし、1906年5月11日から1956年4月27日の場合、日米著作権条約により保護されるため注意が必要です。さらに、アメリカは第二次世界大戦時の連合国であるため、1941年12月8日から1952年4月27日までの著作権保護期間について、戦時加算が適用されます。

米国の著作物の著作権
初発行日 米国法 日本法 結論
1906年5月10日以前 パブリックドメイン(最長で発行後95年であるため) 著作権保護の対象外(日米著作権条約発効前) すべてパブリックドメイン
1906年5月11日から1928年12月31日 没年が1957年以前なら投稿可、1958年以降なら不可(没後70年+戦時加算) 日本法による
1929年1月1日から1941年12月7日 著作権表示、著作権登録、更新手続きのうち、どれか1つでも満たさなければ、パブリックドメイン。すべてを満たしている場合は投稿不可(発行後95年) 日米両法においてパブリックドメインであることを確認する
1941年12月8日から1952年4月27日 没後50年(CPTPP発効日までに保護期間が終了していなければ没後70年)+戦時加算(発行時~1952年4月27日までの日数)
1952年4月28日から1956年4月27日 没後50年(CPTPP発効日までに保護期間が終了していなければ(没年が1968年以降なら)没後70年)(万国著作権条約特例法11条により相互主義不適用)
1956年4月28日から1963年12月31日 没後50年(CPTPP発効日までに保護期間が終了していなければ(没年が1968年以降なら)没後70年)or相互主義(万国著作権条約特例法3条) 米国法による
1964年1月1日から1977年12月31日 著作権表示または著作権登録が欠如していればパブリックドメイン(1992年著作権更新法により更新手続きは不要)。両方を満たしている場合は不可(発行後95年)
1978年1月1日から1989年2月28日 著作権表示が欠落し、かつ発行後5年以内に登録手続きを行わなかった場合はパブリックドメイン(米国著作権法第405条(a)(2))。どちらか一方でも満たしている場合は不可(没後70年)
1989年3月1日以降 不可(1988年ベルヌ条約履行法により、著作権表示義務が消滅。没後70年)

日米以外の著作物

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日本の著作権法

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日本の著作権法では原則として環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者の没後50年以上経過していればパブリックドメインですが、以下の例外があります。また、下記を参考に米国の著作権法上もパブリックドメインであることをお確かめください。

相互主義
日本の著作権法は相互主義を採用しており、本国において著作権保護期間が日本よりも短ければ、日本の著作権法上もその期間のみとなります(著作権法第58条)。ただし、海外で発行された日本国民による著作物には適用されません(同法第58条括弧書きおよび同法第6条第1号)。なお、米国著作権法では相互主義は採用されていません。
戦時加算
日本国の著作権法では、第二次世界大戦時の連合国に含まれる国またはその国民が有する著作権に対する、戦時加算があります。以下の国の著作権の場合、通常の著作権の保護期間に最長で4413日加算されます。加算日数は国と公表日によって異なるため、判断が難しいかもしれません。
  • イギリス
  • オーストラリア
  • オランダ
  • カナダ
  • ギリシャ
  • セイロン(現スリランカ)
  • ニュージーランド
  • ノルウェー
  • パキスタン
  • ブラジル
  • フランス
  • ベルギー
  • 南アフリカ
  • レバノン

米国の著作権法

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アメリカの著作権法では、(1)著作権マークなどを表示し、(2)米国著作権局に登録し、(3)著作権更新の手続きをするという3要件を満たさないかぎり、米国における著作権は最長で28年であったため、米国外の著作物についてもほとんどの著作権が消滅していました。ところが、ウルグアイ・ラウンド協定法によりこれらに対する著作権が復活することになります。したがって、以下の作品のみがパブリックドメインになります。

  • 権利回復日[6]時点で、本源国[1]においてパブリックドメインである著作物(著作権回復の対象外)
  • 1928年12月31日以前に発行された著作物(最長で発行後95年であるため)

なお、著作権が回復した場合の保護期間は以下のとおりです。

1928年12月31日以前に発行された著作物
全てパブリックドメイン(最長で発行後95年であるため)
1929年1月1日から1977年12月31日
発行後95年
1978年1月1日以降
没後70年

ただし、投稿の際は米国の著作権法だけではなく、上記を参考に日本の著作権法上もパブリックドメインであることをお確かめください。また、本源国によって著作権回復の基準日(多くの場合は1996年1月1日)およびその時点での著作権状態(多くの場合は没後50年または70年)が異なるので、判断が難しいかもしれません。

例外

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以下のいずれかに該当する場合、必ずご確認ください

法令文書等

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法令は原則として、パブリックドメインの状態にあります。

  • 国際連合の公式文書であって次の条件に合致するもの - {{PD-UN}}
    1. 国際連合の機関又は会議の手続に関する公式記録(議事録、付属機関・関連機関への報告書、決議集等)
    2. シンボルマークを付して公式に発表された国際連合の文書
    3. 国際連合の広報資料(主に国際連合の活動を周知するために作成された出版物、定期刊行物、パンフレット、プレスリリース、カタログ等。ただし販売されているものを除く。)
  • アメリカ合衆国政府の著作物 - {{PD-USGov}}
    ただし、日本国の著作権法第13条(後述)に該当するもののみ使用ができます。
  • 米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等 - {{PD-US-EdictGov}}
    アメリカ合衆国政府の著作物を除く、制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料"が含まれます。ただし、外国政府の左に該当する著作物であっても、その本国で著作権保護を受けている場合は該当しません。
  • 日本国著作権法第13条に該当する文書類 - {{PD-JapanGov}}、{{PD-JapanGov-old}}
    1. 憲法その他の法令
    2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
    3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
    4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

外国の法令を日本語に翻訳した文書については、発行者が政府でない場合において、翻訳者が著作権を有する可能性があります。

創作後一定期間を経過してから初発行された作品

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作者の没後1958年1月1日から1970年12月31日までに初めて公表された著作物
旧著作権法第4条・第52条第1項、および現行著作権法附則第7条により、1996年1月1日時点で日本での著作権が存続していたため、米国における著作権回復の対象です。発行後95年でパブリックドメインになります。
1977年12月31日までに創作されたが、それまでに発行も著作権の取得もされなかった著作物
米国著作権法第303条により、
  • 2002年12月31日以前に発行された場合:没後70年または2047年12月31日のいずれか遅い方
  • その他:没後70年または2002年12月31日のいずれか遅い方
となります。団体著作物の場合は「没後70年」を「初発行後95年もしくは創作後120年のいずれか早い方」と読み替えてください(第302条(c))。
団体著作物
日本の著作権法第53条では、創作後50年以内に公表されなかったときは創作後50年(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定発効日までに保護期間が終了していなければ創作後70年)です。
米国著作権法第302条(c)では、初発行後95年もしくは創作後120年のいずれか早い方です。

編集著作物

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現行著作権法第12条および米国著作権法第103条により編集著作物にも著作権が存在します。編集著作物は、米国著作権法第101条では「全体として創作的な著作物を構成する方法で、既存の素材またはデータを選択し、整理しまたは配列し、これらを収集し編成して作られた著作物」[7]と定義されています。これにはたとえば、

  • 詩集および短編集
  • 新聞および雑誌
  • 職業別電話帳(タウンページ)

などが挙げられます。編集著作物(またはその一部)を一定のまとまりとして利用する場合に投稿する場合は、原文だけではなく編集物についても、初発行日や編集者の没年などを調べ、パブリックドメインの要件を満たしていることをお確かめください。なお、個々の著作物を抜粋する場合は、個々の著作物の著作権状態を確認するだけで構いません。

校訂を経た著作物

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校訂を経た著作物を投稿する場合、校訂者の権利に関して著作権上の問題が生じる可能性がありますのでご注意ください[8]

脚注

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  1. 1.0 1.1 米国著作権法第104A条(h)(8)における"source country"のこと。ほとんどの場合は初めて発行された国。
  2. 2.0 2.1 1996年1月1日時点で日本での著作権が切れているので、米国における著作権回復の対象外(著作権法第51条から第53条、米国著作権法第104A条)
  3. 旧著作権法第4条・第52条第1項、および現行著作権法附則第7条により、1996年1月1日時点で日本での著作権が存続していたため、米国における著作権回復の対象(発行後95年)
  4. 4.0 4.1 米国著作権法では発行後95年(米国著作権法第304条(a)(1))
  5. 著作権法第51条
  6. 米国著作権法第104A条(h)(2)における"date of restoration"のこと。ほとんどの国では1996年1月1日。
  7. CRIC 米国著作権法第1章
  8. 校訂者の権利に関する青空文庫の事例

関連項目

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