しき嫠は衆人より多く投じたり、
四 蓋彼等は皆其羨余より献金を神に投じ、彼は其乏しき所より、其有てる生計を尽く投じたり。
五 或が殿の事、其美しき石と奉納品とを以て飾りたる事を語れる時、彼曰へり、
六 日來らん、此の爾等が見る者の中、一の石も石の上に遺らずして、皆圯されん。
七 彼等問ひて曰へり、師よ、何の時に此の事有らんか、又此等の成らんとする時は、如何なる兆あるか。
八 彼曰へり、慎みて惑はさるる勿れ、蓋多くの者は我が名を冒して來たり、是れ我なりと云はん、時は邇づけり、彼等の後に従ふ勿れ。
九 爾等戦と乱とを聞かん時、懼るる勿れ、蓋此等の事は先づ有るべし、然れども末期は未だ速ならず。
一〇 其時彼等に謂へり、民は民を攻め、國は國を攻めん、
一一 處々に大なる地震、飢饉、疫病あり、畏るべき現象、及び大なる休徴天よりするあらん。
一二 凡そ此等の事の先に、人々其手を爾等に措き、爾等を窘逐して、会堂及び獄に解し、我が名の爲に爾等を諸王諸侯の前に曳かん。
一三 爾等が此の事に遇ふは証を爲さん爲なり。
一四 故に爾等の心を定めて、何を対へんと預め慮る勿れ。
一五 蓋我等に口と智慧とを與へて、凡そ爾等の仇をして辯駁敵対する能はざらしめん。
一六 爾等亦父母兄弟、