權とを與へ、
二彼等を神の國を傳へ、亦病者を医さん爲に遣し、
三且彼等に謂へり、旅の爲に杖をも、嚢をも、糧をも、銀をも、一切取る勿れ、二の衣をも攜ふる勿れ。
四何の家に入るとも、彼處に留りて、亦彼處より途に出でよ。
五若し爾等を接けざる者あらば、其邑を出づる時、爾等の足の塵をも払へ、彼等に対する証を爲さん爲なり。
六彼等出でて、郷村を行き、徧く福音を宣べ、医を施せり。
七分封の君イロド、凡そイイススの行ひし事を聞きて、惑へり、蓋或者は是をイオアンの死より復活せしなりと言ひ、
八他の者はイリヤの現れしなりと言ひ、又他の者は古の預言者の一人の復活せしなりと云へり。
九イロド曰へり、イオアンは、我已に其首を斬れり、今我が是くの如き事を聞くは、斯れ何人ぞ、乃彼を見んと欲せり。
一〇使徒等歸りて、其行ひし事を以てイイススに告げたり、彼は之を攜へて、潛にワィフサイダと名づくる邑に近き野の處に退けり。
一一民之を知りて、彼に随ひしに、彼は之を接けて、神の國の事を語り、且医を需むる者を医せり。
一二日の昃く時、十二徒彼に就きて曰へり、民を去らしめよ、彼等が四周の郷村に往きて、宿を取り、食を覓めん爲なり、蓋我等は此に野の處に在るなり。
一三然れども
彼曰へり、
爾等