繞りて擁し逼るに、爾は誰か我に捫りたると謂ふか。四六然れどもイイスス曰へり、我に捫りし者あり、蓋我能の我より出でしを覺えたり。四七婦は自ら隱す能はざるを見て、戦きて來り、彼の前に俯伏して、彼に捫りし故、又如何にして立に愈されしを、彼に衆民の前に告げたり。四八彼は之に謂へり、女よ、心を安んぜよ、爾の信は爾を救へり、安然として往け。四九彼が尚言ふ時、會堂の宰の家より人來りて曰く、爾の女已に死せり、師を煩はす勿れ。五〇イイスス之を聞きて、宰に答へて曰へり、懼るゝ勿れ、惟信ぜよ、彼は救はれん。五一家に來りて、ペトル、イオアン、イアコフ、及び少女の父母の外、誰にも入ることを許さゞりき。五二衆人爲に哭き哀めるに、彼曰へり、哭く勿れ、彼は死せしに非ず、乃寝ぬるなり。五三人人其死せし知りて、彼を哂へり。五四彼衆を外に出して、其手を執りて、呼びて曰へり、少女、起きよ。五五其神゜返りて、直に起きたり、彼は之に食を與へんことを命ぜり。五六其父母駭きたり、イイスス彼等に戒めて、行はれし事を人に告ぐる勿らしめたり。
第九章
一イイスス
十二徒を
召し
集めて、
彼等に
凡の
魔鬼を
制し、
又諸病を
医す
能と