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新庭雑感
ひとまたぎほどの小さな堤が、ゆるやかな線を描いて、私の住んでゐる舎の周囲をかこんでゐる。堤の上には、一間程の隔りを見せて、つゝじと玉ひばが交互に植ゑてある。堤の柴は青く芽ぶき、つゝじはいま花ざかりである。この堤は、つひ先頃、何もない素枯れた庭の淋しさに、少しばかりおもむきを添へようと、義弟と一緒に築いたものである。絶えず眼の痛みにおそはれてゐる私は、部厚な繃帯を顔に巻きかさねて、痛みをこらえながら、土盛りをしたり、柴を張ったりしたのであつた。不自由な自分には、このやうな仕事は無理だなと思ひながらも、生来、庭いぢりが好きなのと、草々の深い緑のにほひ、やはらかな土のしめり香などに誘ひ込まれて、いつか眼の痛みも忘れてしまってゐる自分に気がつくのである。夜、床についてから、あれこれと庭の設計をする。あそこには何を植え、入口はこのやうにしたら、などと考へ始めると、もう凝り