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(一)
廣義の數の定義

に乙に達することを得.

以上は數及び大小といふ語の定義なり.何故に數はかくあらざるべからざるかといふは意義なき疑問なり.姑らく吾人は數の觀念を失へりとすべし,是時に當りて卒然吾人の面前に投ぜられたるは上文の定義にして,數とはかゝるものぞと吿げられたる吾人は此三個條の規定を前提となして,こゝに定められたる「數」なるものゝ性質を研究せんとす,是吾人の立脚點なり.若此立脚點を忘するときは,或は恐る,後文說明の途上,三段論法の迷宮裡に沒入して茫然自失するに了らんことを.

吾輩は先づ上の三個の條件の最直接なる論理的結果の二三を擧げんとす.順序數の原則として第一章に列擧せる四個條と上文の規定とは,先づ其第二條に於て相背馳せり.凡て數には直ちに之に先てる數ありとなせるが故に,数に最小の者あるを得ず,是れ第一章の第四條を否認せるなり.又凡て數には直ちに之に次ぐ數ありとなせるが故に,數に最大の者あることを得ず