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附錄

八(八) 三一七頁,分布の稠密なることは未だ連續にあらず.例へば或る定まりたる自然數 及其冪を分母とせる凡ての分數を總括して考ふるに其分布は稠密なり.凡ての有限小數()の分布稠密なり.

八(八) 三一七頁,ナイフにて切るとは なる點を除去せよといふことに過ぎず.直線の連續は此處にて破壞せらる.然れども の右及左に如何なる點をとるとも,其中間には必點( より外の)あり. の直に右,直に左の點なる者なし.連續の定義はデヾキンドの名著,「連續及無理數」(Dedekind, Stetigkeit und Irrationale Zahlen, 1872)に載す.これ必讀の書なり.

八(九) 無理數の觀念の最嚴正に說明せられたるは輓近の事に屬す.原著としてはワイヤストラス,カントル,ハイネ,メレー,デヾキンドを擧ぐべし.祖述にはタンネリー(J. Tannery, Théorie des fonctions d'une variable reelle, 1886),ヂニ(U. Dini, Fondamenti per la teorica delle funzioni di variabili reali, 1878),ストルツ(O. Stolz, Allgemeine Arithmetik, 1885),ジヨルダン(C. Jordan, Cours d'Analyse, t. 1, 1893)其他なほあるべし.

ワイヤストラス(K. Weierstrass, 1815-97)の說は前世紀の六十年代よりベルリン大學に於ける講義として世に傳はれるに過ぎず,現時に於ても尙シユワルツ氏によりて同大學の講筵に反復せられつゝあり.ビエルマン函數論(O. Biermann, Theorie der analytischen Funktionen, 1887)其梗槪を載す.バツタルリーニ,ヂヨルナーレ卷十八に於てピンケルレ(S. Pincherle, Battaglini Giornale XVIII.)の詳說あり.ワイヤストラスの無理數の定義は最も直接に無限小數を擴張す. が正の有理數にして が盡く一定の( に關係なき)正數 を超えざるとき,列數 が有理數を極限とせざるときは は一