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附錄

附錄

「フート,ノート」といふもの邦文の書に入り難し.本文の各處に添ふべき重なる引用及參照書目を取りまとめて,卷末に附するに當り,印刷の進行中に心つきたる本文の修正追補二三を倂せ收む.太き字體,例へば六(九)とは第六章第九節を指す.

一,二 自然數を論ぜる著書の最勢力ある者二三を擧ぐ.クロネツカー,「數の觀念につきて」(Kronecker, Ueber den Zahlbegriff)此論文はエドワルド,ツエルラー記念論文集 — Philosophische Aufsätze, E. Zeller, zu seinem 50-jährigen Jübiläum gewidmet, 1887 — に載せたり.同書又ヘルムホルツ、「數ふること及計ること」Helmholtz, Zählen und Messen を載す.クロネツカーの論文はクレルレ卷百一及全集卷三ノ一に轉載せり.クロネツカーは冒頭「予は數の觀念を說明するに最妥當なる發足點は順序數にありと信ず」の語を置けり.デヾキンド「數とは何ぞや」Dedekind, Was sind und was sollen die Zahlen? 1887-93 の所論は更に根本的にして,「物の集まり」及其對照を基礎とせり.開卷先づ「凡そ證明し得べきことは必ず證明せられざるべからず」の語に接す.全篇の論調推して知るべし.其他シユーべルト,フレーゲ,シユレーダー(Schubert, Frege, Schröder)等の書名あり.デヾキンドの所論の一斑はウエーバーの初等數學全書(Weber, Encyklopedie der Elementar-Mathematik, 1. 1903)により窺ふを得べし.

二(四) ヂリクレーの證明は其整數論講義(Dirichlet, Vorlesungen über die Zahlentheorie)第一章に出づ.

二(七) 或數を命數法にて表すは此數を「冪級數」に展開するなり.函數論の思想を數の學アリスメチツクに應用して成效せる者近時ヘンゼル氏あり.