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無理數

機の工夫に待つ所多し.要するに斯の如き省略計算は次の事實を其根據とす, に於て の變動の區域を相當に制限して,以て の變動を,如何程にても小なる,但豫め定められたる範圍內に留まらしむるを得,といふこと是なり.此意義に於て加法を連續的の算法と稱す.

(十)

先に無理數觀念の萌芽をユークリツドの比例論の中に發見せるに因みて,此處に比例に關する二三の定理を證明し,一には以て數と量との關係を明にし,又一には乘法,除法の根據を此中に覓めんとす.

量の比の觀念は直ちに移して之を數に適用すべし.第八章(七)に說きたる比の定義の要點を拔摘して,此處に之を反復すること次の如し.

なる二つの數與へられたるとき,一對の自然數 を採りて を作るに なる三つの場合を生ず,此等の場合に於て順次 なる比を より大, に等し, より小なりといふ,卽ち