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（五）

無理數の展開

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$(m_{0}.c_{1}c_{2}\cdots c_{k}\cdots )$

の如き展開を與ふべき數は必ず存在すべしや，否や．

展開の有限なる場合，及び其係數の循環する場合は旣に結着せる問題として，こゝに之を度外に置きて可なり．さて前の如く

$r_{k}=m_{0}+{\frac {c_{1}}{t}}+{\frac {c_{2}}{t^{2}}}+\cdots +{\frac {c_{k}}{t^{k}}}={\frac {m_{k}}{t^{k}}}$

なる有理數を作り，此等無限の有理數 $r_{0},r_{1},r_{2}\ldots$ を一括して之を $R$ と名づくるに，$R$ の諸數は盡く $m_{0}+1$ より小なること明白なり．是故に（二）によりて $R$ は一の上限を有す，之を $\gamma$ と名づく．$\gamma$ は卽ち上記の展開を與ふべき數なり．之を確めんと欲せば，凡ての $k$ につきて

$r_{k}={\frac {m_{k}}{t^{k}}}<\gamma <{\frac {m_{k}+1}{t^{k}}}$

なるべきを示さば則ち足る．先づ $\gamma$ は $R$ の上限にして $r_{k}$ は $k$ と共に增大するが故に $r_{k}<\gamma$ なること明白なり．今假に $\gamma >{\frac {m_{k}+1}{t^{k}}}$ となさば，上限の定義によりて，$R$ の中には ${\frac {m_{k}+1}{t}}$ より大なる數なかるべからず，然れども其實