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無理數

晰に說明せんが爲に,最卑近なる例を採れるなり.

(二)

上限下限の語を說明せる後,進みて次の定理を證明せんとす.

限りなく多くの定まりたる數の一組の與へられたるとき,若し此一組の數が盡く,或一定の數 より小なるときは,此一組の數は より大ならざる上限を有す.

若し又此一組の數が盡く或定まりたる數 より大なるときは,此一組には より小ならざる下限あり.

此定理は有理數の範圍內にては必ずしも成立せず.之を證明するには連續の法則を根據とせざるべからず.こゝには第一の場合のみを論ぜん,第二の場合も其趣異なることなし.

先づ與へられたる一組の數を と名づく.今任意に或數 を採りて考ふるに,玆に二つの場合あり.卽ち の如何なる數よりも大なるか,然らずば