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(七)
有理數の兩斷及其缺陷

キメデスの法則を適用して なる如き自然數 の存在すべきを知る.卽ち にして なる有理數は より大にして而も仍ほ甲に屬せり.是によりて甲の有理數に最大の者あるを得ざるを知るべし.乙に屬せる有理數の中に最小の者あるを得ざること,亦同樣にして證明せらるべし.

斯の如くにして有理數の範圍に尙ほ缺陷あるを知り得たり,有各處稠密なりと雖,其中に公約なき二量の比 を以て塡充空隙を存せり

凡ての比と凡ての有理數との大小相等の關係は第一定義によりて旣に定まれり,今二つの比の相等及び大小の意義を定めんが爲に,ユークリツドと共に次の定義を立す.

第二定義 共に有理數に等しからば,此等の有理數の相等大小によりて比の相等大小を定む.二つの比の中一方例へば のみが有理數