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(七)
比の相等及大小

在することなし.

(七)

ユークリツドの比例論は數の觀念の歷史の第一頁を飾りて特に異彩を放つ.讀者は,其嘗て初等幾何學の一節として相識れる此理論に,算術を榜標せる本書に於て再び邂逅するに驚くことなかるべし.

此處にエレメンツの字句を忠實に反復するの必要なし,吾輩はユークリツドの比の定義を次の如く言ひ表はさんとす.

第一定義. なる二つの量の與へられたるとき, を二つの自然數となし, 及び を比較して三つの場合を區別す,一に日く, に等し,二,三に曰く よりも大又は小なり.或は之を換言して,一に曰く に等し,二,三に曰く よりも大又は小なり.此三つが凡ての場合を網羅せることは(二)の第一原則の保證する所なり.さて第一の場合に於ては の此 は有理數 に等しといひ,第二,第三の場合に於ては