Page:Sengo ōbei kenbunroku.pdf/83

提供:Wikisource
このページは検証済みです

と申したりとか、夫れ利害關係の多少によりて注意の程度に差等を生ずるは人情の免れざる所にして日本人が靑島問題に緊張するも波蘭の國境問題に冷淡なるは固より當然の事なり、然れども世間には今日無關係なりとて閑却したる事が他日大影響を及ぼし來る塲合往々これ有り、かゝる際に平常の調査足らず豫備知識なきの結果忽ち措置に迷ふて周章狼狽するが如きは决して賢明なりと云ふを得ず、況んや今日の日本は國際聯盟の中軸たる世界の主人公として利害相關せざる國の面倒迄も見てやらねばならぬ地位に達し居る也、現に西園寺侯の最初ホテルモーリスに在るや白耳義國王は親しく駕を抂げて侯をホテルに訪問し白耳義の要求の貫徹する樣盡力ありたき旨懇請