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 歸り來りて獨り燈火に對すれば一日の見聞髣髴として眼底に在り、思へらく國際聯盟の實現したる眞に偶然に非ざるなり、かの聯盟を以て單純なる學者的興味の問題に過ぎずとなすの士は乞ふ先づ往いて佛國戰場を訪へ、そこに殘れる限りなき疲弊と窮りなき破壞とは國際聯盟が人類至深の要求に根ざせる事を最雄辯に最適切に說明するなるべし、戰慄すべき流血と犧牲との彼が如き慘禍は只々國際聯盟てふ一嬰兒を產み落さむが爲の產みの苦しみとしてのみ始めて容認せらるゝなり、不幸にして其生れたる嬰兒が欠陷多き虛弱なる身體の持主なるにせよ吾人は之を哺み之を育てゝ精力と健康と生の歡喜とに充ち溢れたる偉大なる丈夫に仕立て上げざる可らず、四箇年に亘