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五臟六腑を曝け出して慘憺たる最後を遂げたりと、余等は此話を聞きて俄に怖氣付き夫よりは蒐集方を護衞巡査に一任して戰々兢々として進む、果然後方に當りて一大爆音あり、一同愕然として、顧れば一行の乘り捨てたる自動車の邊に白煙の高く騰れるを見る、何事の起りしぞと早速護衞巡査を走らせたるに暫らくして笑ひながら歸り來りて報吿して曰く自動車の運轉手に戰爭の經驗ある者あり偶其處に投彈のありしを幸ひ同僚に示さむ爲に惡戱半分投げ付けたるが爆發したるなりと、余等はやつと之で胸撫で下せしが戰跡の今も尙危險なる事槪ね此の如きものあり。

 小林少佐は頻りと雜草を踏分けて何物か搜し居りしがやが