のに対して、政府参考人は、改正法は、改正前民法724条後段の期間が除斥期間であることを法的に確定させる性質のものではもとよりなく、同条後段の解釈については、依然としていろいろと可能であると答えている(第193回国会参議院法務委員会会議録第9号(平成29年4月25日)15頁)。すなわち、民法改正法附則35条1項の経過規定が置かれているからといって、改正前民法724条後段の期間を除斥期間と法的に決定するものではなく、依然として解釈に委ねられているというのが立法者意思であるので、同条後段は消滅時効を定めたものであると判例変更することが、民法改正法附則35条1項の経過規定に反することにはならないと考えられる。
そうであるならば、同一又は類似事件で原告Aと原告Bについて、改正前民法724条後段の期間が経過するのが民法改正法の施行の前であるのか後であるのかが僅かな差で分かれ、改正前民法724条後段の期間を除斥期間と解すると原告の一方が救済されなくなるような事態が生ずることを避けるために、同条後段も、改正 後民法724条2号と同様、消滅時効を定めたものと解することが望ましいように思われる。
3 本件で改正前民法724条後段が消滅時効を定める規定であると解する場合には、除斥期間説を前提としてその例外を認める平成10年判決、平成21年判決も併せて変更することになると思われる。
他方において、除斥期間の起算点に関する最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁(以下「筑豊じん肺訴訟最高裁判決」という。)、最高裁平成13年(オ)第1194号、第1196号、同年(受)第1172号、第1174号同16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁(以下「水俣病関西訴訟最高裁判決」という。)、最高裁平成16年(受)第672号、第673号同18年6月16日第二小法廷判決・民集60巻5号1997頁(以下「B型肝炎北海道訴訟最高裁判決」とい