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らず」「犯罪の証明なきに帰す」とのみ判示して、その理由の詳細を説示しておらないことは所論のとおりである。しかしながらその理由を詳細説明することは固より好ましいことではあるが、これを原判決程度に説示したからといつて必ずしも違法とすることはできないのであるから、原判決に所論理由不備の違法も存しない。論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三九六条により、原判決中殺人の点に関する本件控訴を棄却する。

(本件と併合罪の関係にある罪の刑を定める裁判)

 仙台高等裁判所が昭和二七年五月三一日被告人に対し言渡した確定判決中銃砲等所持禁止令違反の罪につき、同判決摘示の法条を引用し所定刑中罰金刑を選択し、所定罰金額の範囲内において被告人を罰金五、〇〇〇円に処すべく、刑法第一八条第二一条を適用し、原審未決勾留日数中その一日を金一、〇〇〇円に換算して右罰金額に満つるまでの分をその刑に算入すべきものとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 三浦克巳 裁判官 松永 剛 裁判官 小田部米彦)