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決定の当該認定事実に挙示する証拠をそれぞれ引用する)

1 自分は本件殺人事件のあつた一〇日位前にミシン修理に使う長四角形のヤスリを、自宅にある手回しのグラインダーにかけて刃渡り約二〇ないし二五センチメートル、刃巾約三ないし三・五センチメートル、峰の厚さ約〇・三センチメートル、片刃で切先を短刀のように曲げ、これを砥石でさつと研ぎ、柄にはドライバーの丸い柄をつけた凶器を作成したが、右凶器のことは〔乙24〕という者も知つているのではないかと思う。
2 本件犯行当夜の自分の服装は、袖が手首のくるぶしから上約五・五センチメートルあたりまである白色のカツターシヤツを着、黒の長ズボンおよびゴム底で歩いても音がしない黒の色のズツク靴を履き、帽子、眼鏡を着用せず、覆面はしなかつた。
  また当時身長は約一七一ないし一七二センチメートル位、髪の毛をのばし、分けていた。
3 その頃癖のようになつていたが、当夜も女性にいたずらしようと思つて、午後一一時頃に家を出て歩き廻つていたところ、いつしか〔乙〕方附近に来たが、そのとき本件犯行の一〇日か二週間位前に〔乙〕方二階でミシンを修理したことがあり、その折二二、三才位の娘が二人いたことを思い出して〔乙〕方に入ることにした。
4 〔乙〕方へは表門わきの潜り戸から入つた。潜り戸には錠がなく、そこを通りながら腰のバンドの内側に挾んであつた前記の凶器を取り出し、鞘代りに巻きつけてあつた布切れを取り去つて、これをズボンのポケツトに入れ、凶器を握持してまず表門のほぼ正面(西側)の勝手口に向つたが、それはミ