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とせるが如し。是等は君の言へるが如く靑年を腐敗せしむる科目なりと謂ふものゝ如し。

然り余は力を込めて然りと云はん。

然らばメレートスよ、吾等が今語れる所の神かけて、今一層平易なる言語を以つて、君は果して何を意味せるやを、余及び法庭に吿げよ。何となれば君は余を以つて、人に敎ふるに他の或神々を信ずべきを以つてする者なり、故に全くは無神論者に非ず――此點に就て君は余を罪するに非ずして、余の云ふ所の神々は、アテーナイ市の認定せる所のものと同一なるものに非ずとするにあるべく――罪する所は異る神々を謂ふにありとするものなるべし。若し夫れ然らずとせば、君は余を以つて單に無神論者となし、無神論の宣傳者となすにあるか。

余は後者を意味す――君は全然無神論者なりと云ふにあり。

メレートスよ、此は之れ方外の言なるかな。君は何を以つて之れを言ふか。再は余を以つて萬人の信ずる所の太陽或は月の神性を信ぜざるものなりと云ふか。