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といふことが立せらるゝと共に之れに反して世には自由原因といふべきものなく凡べての事は皆自然界に於ける機械的關係によりて必然に生ずるものなりといふことも亦能く立せらる。第四、世界には必然に存在すと考へざるべからざる絕對者ありと立せらるゝと共に之れに反して世界の內に於いても又其の外に於いても絕對に必然なる存在者といふ如きものなく、世に存するは凡べて相待的のもの、凡べて條件附きのものなりといふことも亦能く立せらると。以上純理哲學的世界論に於ける四ヶ條の相反する立言の中カントは其の前なる二つを名づけて數學的のものと云ひ後なる二つを力學的のものと云へり。彼れ以爲へらく、若し純理哲學的世界論に於いてするが如く宇宙を客觀的に全き一體を成せるものと見ば上に云へる如き矛盾を解釋すること能はず、斯く吾人の理性を用ゐて考ふることによりて起こる立(Thesis)と反立(Antithesis)とは共に均しき根據を有し居るものとせられざるべからずと。斯くてカントは此の困難を解釋する道は唯だ彼れが知識論上の新見地よりして始めて得らるべしと考へたり。
彼れ以爲へらく、初めの二ヶ條の矛盾に於いては立も反立も共に誤れり、何となれ