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と相列ぶべきものは論理上一槪念に他槪念の從ひ來たる關係と實在上一事物が他事物に從ひ來たる關係との區別なり。前者に於いては自同律を以て一槪念に他槪念の從ひ來たる所以を解するを得、盖し唯だ前槪念を分析すればそれに後槪念の含まれるを認むべければなり。又矛盾律によりて一槪念と相容れざる他槪念を排斥するを得。然れども實在上の前後はこれと異なり一事物の生起するに從ひて他事物の生起し、又一物が他物を出沒せしむる關係は斯くの如く考ふべからずと。而してカントは此の實在上の關係を以て竟に全くは了解し得られざるものとせり。彼れは是に至りて因果の關係が論理上自同律又は矛盾律によりて考へらるべきものとは全く別のものなることを明白に認めたり。尙ほ彼れは一千七百六十四年の著 "Deutlichkeit der Grundsätze der natürlichen Theologie und der Moral" に於いては進んで哲學及び數學兩者の攷究法を比較して之れを以て全く相異なれるものと見るに至れり。以爲へらく、數學は證明を施すべからざる少數の原理より出立し其れより演繹的に論じ出だして一步々々に確實に其の事柄を組み立つるもの即ち綜合的(synthetisch)のものなり、哲學は經驗として吾人に與へられたるもの