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リー等の世界觀に疑訝を挾まざるべからず。バトラーが自然宗敎を唱ふる論者に向かひて用ゐたる論法は
かくて宗敎上の信仰を維持するにも宇宙に現はれたる意匠を根據とする論證よりも寧ろ唯だ道德上の要求に其の基礎を置かむとする傾向を生ずるに至れり、而して此の思想の變化は現にヺルテールに於いて已に吾人の發見するところなり。吾人はさきにデイズムに於いて道德的傾向の重きを爲せるを見たりしが、こゝに至りては此の傾向のみが專らなるものとなり其れのみが宗敎的信仰の根據を爲すに至れるものと云ひて可なり。