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Old as the Creation" 一七三〇)に於いて自然宗敎即ち吾人が理性の示す所に全く合したる宗敎は吾人の原初に於いて已に有せし所のものにして其れ以外歷史上の變遷に從ひて制定したる宗敎(positive religions)は皆後世造り設けたるものにして宗敎の純粹なる精髓を失へるものなり而して基督敎(即ち眞に基督の說きたる敎)は再び原始の眞正の宗敎に復歸したるものに外ならず、然るに其の後敎會の敎へたる基督敎はまた後世僧侶等の作り設けたる種々の事柄を附加せるものにして純粹の基督敎にあらずと唱へたり。即ち彼れに取りては自然宗敎は萬人の均しく理性を以て承認し得べきものなるのみならずまた原初のものなり、盖し自然といひ、原初といひ、眞正といふことをば全く同一不二のものとなしそれより以外のものは皆故意に造り設けたるものに外ならずと見て之れを排斥することはデイスト所說の一方面として彼れに於いて大に明らかになれり。トマス、モルガン(Thomas Morgan)は宗敎の眞正なること即ち其が眞に神より出でたることを知る標準は唯だ道德上の眞理にかなふことに在りとする思想に根據して舊約書が果たして此の標準に合ふか否かにつきて批評を試みたり。トマス、チョップ Thomas Chubb 一六七九―一