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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/252

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を得、又外物の吾人にはたらき且つ吾人の意志のはたらくことを覺知する所にといふ觀念を得、又感官によりて一物を知覺し心に一想念を覺ゆる所にといふ觀念を得、又種々の事物が連續して感覺に現じ特に想念の相次ぎて出沒することを覺知する所に繼續といふ觀念を得。此等凡べて吾人の心に意識する所のものをばロックはデカルトの用語に從ひて觀念と名づけたり。

《物體に於ける二種の性質、第一性質と第二性質。》〔六〕吾人が內官及び外官によりて得る所のものは凡べて我が心に屬するものたる觀念に外ならず。されど其の中感官によりて得るものにつきては特に區別するを要するものあり。吾人は五官によりて外物に就きて感ずるものをば通常其の物體の性質と名づく、而して此等性質といふものも要するに觀念として吾人に意識せらるゝものなれども、其のうちに就き物體そのものに屬して離れざるものと唯だ吾人の感覺するところにのみ存するものとを區別し得べし。物體そのものに屬して離れざるものとは廣袤、形狀、數、動靜及び塡充性(solidity)を謂ふ、此等は唯だ吾人の五官に感ずる所に存する色、音、香、味及び溫熟等の感覺とは區別せられざるべからず。但しロックが此等後者を主觀的のものと見たるは曩にデカル