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要するに、ライブニッツは說明に困却せる極、竟に神てふ觀念を借り來たりて、あらゆる困難を之れに投じ込むが如き窮策を用ゐざるを得ざるに至れるなり。是を以て彼れの所謂神は唯だ此等の困難を救ふ窮策として提出されたるもの(deus ex machina)に外ならずと評せらるゝなり。
斯くの如くライブニッツの哲學に少なからざる困難の點あるは畢竟彼れが多元を說きて其の各〻を獨立のものとしたる上に尙ほ其の一致を說明せむとすれば也。換言すれば、彼れはスピノーザの萬有神說に陷らざらむとして多元說に走れると同時に多元說の困難に陷れるものと云ふべきなり。斯くの如く彼れが哲學に困難の點はあれども連續律を根據として唱へ出でたる其が種々の思想の中には後世の學界に記憶せらるべきもの少なしとせず。殊に彼れが心理上の所說の如きは今日に至りても尙ほ大に價値ありと云はざる可からず。
第三十六章 ヺルフ及び其の學派
《哲學上ヺルフの功績及び其の生涯。》〔一〕ライブニッツは其の哲學思想を組織的に叙述することを爲さず、且つ彼