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の思想上差別の物象を說明するに甚だ肝要なる)反對のものの相働くといひ又世界成壞の循環といふ思想を見、アナクシメネースに至りては厚簿を爲す(即ち詮ずれば物質の相集まり相散することに歸すべき)機械的作用といふ思想のほのみゆるあり。彼等三人の學者が皆萬物の本原を物質上のものに求め又そを生氣ある底のものと思ひしに於いては一なり、又萬物の生起を一本原に歸せしめしも一なり。彼等の心には萬物の本原の一元なるべきことは論證するまでもなく明らけしと思はれし也。之れを要するに彼等は皆一元的物活說を唱へしものなりといふを得べし。
第二章 宗教の振作
ピタゴラス(Πυθαγόρας)及びピタゴラス盟社
《ピタゴラス及びピタゴラス盟社。》〔一〕西曆紀元前第七世紀より第六世紀にかけて希臘の社會は百般の搖動甚だしく從來の制度習慣は漸々其の權威を失うて復た人心を滿足せしむる能はざるに至りぬ。先祖傳來の信仰をただ何心なく其の儘に保持し世間の風儀慣習を