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スコラ哲學第三期

第二十七章 衰頽時代

《スコートスの批評的思想、其の結果。》〔一〕種々の肝要なる論點に於いてトマスと反對の位置に立ち所謂トマス學徒とスコートス學徒との論爭を惹き起こしたる


ドンス、スコートス(Duns Scotus

に於いて吾人は已に中世紀哲學解體の第一步を見ることを得。スコートスは一千二百七十四年(或は一千二百六十六年)大不列顚(恐らくは愛蘭)に生まれ一千三百八年に歿しぬ。吾人は其の思議の仕方に於いて已にトマスとスコートスとの間に著るき差別を認む、前者は立宗義的にして後者は批評的なり。但しスコートスも固より敎會の敎義を疑ふといふにあらずされど彼れは其の眼を從來の立宗義的論證の効力に著け之れを論評して其の眞に如何ほど確實なるものなるかを知