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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/47

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一 如何なる先人未發の問題及び解釋を提出せしか又その問題及び解釋が後人をして如何なる新行路を取らしめ如何なる新見地を開かしむるに効ありしか。

二 學說の內部に自家撞着の點あるかなきか。

三 その實際達したる解釋が果たしてよく其の統合せむと欲したる事柄を悉く統合し得たるか。

今こゝに哲學史を講ずるにあたり批評を要する塲合には專ら右揭ぐる如き當學說の內部に於いてする內在的批評を用ゐるべし。かゝる批評はこれを學說の生起上の關係を說明することの中に於いてするも不可なからむ。そは如何なる先人未發の問題及び解釋を提出したりしかと尋ぬるは是れ畢竟哲學史上生起したる思想のうちいづれを個人の特發獨創に歸すべきかと問ふと同一なり、又その問題および解釋が後人をして如何なる新思想を發揮せしめたるかと問ふは是れ畢竟生起上の關係を闡明する以外の事にあらず、又一學說の內部に自家撞着の點あるかなきかを見るは踵いで出でたる學說の生起したりし所以をあきらむるに缺