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タゴラス學徒とは大に其の面目を異にしたり。彼等はピタゴラスの名を假りて種々の著作を爲せり。後世傅ふる所のピタゴラス學派の書籍は槪ね此の新ピタゴラス學徒の手に成れるものなり。
哲學上より云へば彼等の思想は昔のピタゴラス學派の說とプラトーン學派の思想とを混合せるが如きものにしてまた其の外にストア學派及びペリパテーティク學派より取れる所あり。故に哲學上より云へば彼等には明瞭に形成せられたる說あるにあらず寧ろ折衷的なりきといふべし。此等の學徒の中其の名を擧ぐべきはモデラートス、ティアナ人アポルロニオス及び其の後にはニコマコス等なり。中に就き最も有名なるはアポルロニオスなり。彼れは西曆紀元第一世紀の半ば頃の人にて當時の宗敎家として多くの人の尊敬を得奇跡を行ふ能ありとまで信ぜられたりき。此くの如き宗敎的人物は當時(即ち後の大宗敎となれる基督敎の開祖イェス、キリストの起これる時)には珍らしからざりし也。
《此の派特殊の思想。》〔五〕此等の新ピタゴラス學徒の說は判然一定せりと云ふこと能はざれども槪ね往時のピタゴラス學派の數論に於ける語を用ゐて一と二とを萬物の本元と