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を代表せりしが、ソークラテースは此の派の人々にはソフィストの亞流に外ならずと思はれたり。彼れが辯論の新奇なる、昔氣質の人々に危險視せられて斯くの如き誤解を蒙りしも亦全く故なきにはあらず。世に最も公正を失したりと稱せらるゝ裁判をうけ服毒の刑に處せられたりしも、少なくとも其の一原因は此の誤解に基づけりと見て可ならむ。メレートス等三名の者彼れを訴へたり、其の理由とせし所に曰はく、彼れは亞典の靑年を腐敗せしむ、彼れは國家の神々を否めり、彼れは新たなる神を唱へ出でたりと。此の三箇條に含まれたる誤解の外に恐らくは政治上の理由も混ぜりしならむ。彼れは貴族主義を取りし一人にはあらざりしも平民の意志に媚ぶることをせず、彼の「三十人の擅政家」を倒したる民主黨は恐らくは彼れを以て自黨に不利なるものとなしたるならむ。初めは僅少の多數を以て有罪と決せられたりしが彼れは當時の人々の通常爲しゝ如く毫も判官の憐愍を乞ふことなく反りて飽くまで己れの正義なることを主張して動かざりしかば其の刑を適用せらるゝや遂に死刑に處せらるゝに至れり。獄に投ぜられて後逃脫のよすがありしに拘はらず又之れを勸むる者ありしに拘はらず、斯かる卑劣の事は我