コンテンツにスキップ

Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-3-DaiNipponTosho-1981.djvu/33

提供:Wikisource
このページは検証済みです


春日敍景


百姓家の庭を

通󠄁つて

村にはいつた


れんげの束を

もつて

小さい地藏が

たつてた


子供のまはす

輪がねが

どつかの道󠄁を

鳴つてた


とある農家の

傾いた壁に

ふうらんしよと

さがつた

使はないランプ


まづ私は

山羊の仔に

迎󠄁へられ


啞の從妹と

井戶のそばで

あつた



冬󠄁の最後の日暮に


冬󠄁の最後の日暮に

南の窗で

みそさゞいの話した白豹の物語を

讀んでる


光がともしくなつて

小さい文󠄁字達󠄁が消󠄁える

私は北のから

歸つて來る


ああ 窓外の冬󠄁木のうれに

眞赤に燃えてる

熖のやうに燃えてる