Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-2-DaiNipponTosho-1981.djvu/68

提供:Wikisource
このページは検証済みです

胼胝たこつけて

もくもくと。

陽南にぬくとい

砂のうえ

影まですはる

 もくもくと。


駱駝よこぶよ

膝胼胝よ

お花󠄁の匂に

あいたのか

靜かにすはる

 もくもくと。


干鮭吊して


干鮭吊して

小屋に

アイヌは冬︀を

越した。


白樺林の

凍る

谷間の冬︀を

越した。


子供等 ろばたに

寢てゝ

沼の傳說はなし

きいた。


干鮭吊した

影は

さみしく 小屋に

搖れた。


 小鳥の來る日は

 まだか……

 白樺林はやしの芽︀ぶくは

 まだか……


谷間に埋れた

小屋に

アイヌは春を

待つた。