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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-2-DaiNipponTosho-1981.djvu/50

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鹿


猿澤の

池の柳に

夏は朝󠄁は

鹿が來てゐる

柳は枝低うたれ

水にとゞけど

鹿はなよやかにあゆみ

またすなりとたゝずみ

そのかぐろき瞳みれば

うらゝかに

愁ひなくすみぬ

夏は朝󠄁は

まことめでたしや

塔の影も

あほみて


天女笛吹像

   ――大和法隆寺にて


斑鳩寺のみ堂のおくに

掌にみつる天女が

笛吹くをきけバママ

ほのほめき澄みまさるもの

七彩󠄁なゝいろの虹なすものよ

あはれひとすじに

やさしくながれ

あが魂にふるゝほどに

あたゝかにふとふるゝほどに