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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-2-DaiNipponTosho-1981.djvu/34

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月󠄁の夜ごろは

いつそう小さく

村は見え

祭りはすると

近󠄁づいて來る


おほだいがどろどろと

とゞろき

小皷こづけがぱんこぱんこと

はじくやうにつづく


月󠄁夜もかいだう沿︀ひの

あきなひ店が

あかりを道󠄁に

ぽつぽつとなげ

そのあかりに

脚てらされてゆく人が

かぼそに流れる笛の音󠄁を

どんなに侘しくきくか


あの小皷こづけのぱんこぱんこ

はじく音󠄁は

どこまでいつたら

人の耳から消󠄁ゆるぞ


あの流るゝ橫笛の音󠄁は

どこまで憂愁の

あとをついてゆくぞ


月󠄁の夜ごろは

村はいつそう小さくなるが


そこへ祭りが來て

村は小さくはなやかになる