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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-2-DaiNipponTosho-1981.djvu/117

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ひらがな幻想


伯母さんの家ではおほさわぎでした 前󠄁山から虎がく

るといつてゐました みんな押入れのなかにはいつて

小さくなつてゐました しまつたといつてひとりが井

戶のふたをしめてきました しまつたといつてだれか

が竈のうへに蠟燭をたてました 前󠄁山の竹がさあさあ

と鳴るとみんなふるへました こうじんさまをだいじ

にしないからだと伯母さんがいひました 來るだらう

か虎はといひました 來るはづだきつと來るよといひ

ました 緣つきのたゝみにぱつと陽がさしました 前󠄁

山から虎が來ました 暴れまはつてみんなくつてしま

つてあとに櫛を落ママいていきました


卽興


咲󠄁きつくし

花󠄁も絕えたる

この歲と

月󠄁のいやハテ

ふるきみち

武道󠄁をさめと

いつどひて

技󠄂ワザなす見れば

いとワカ

星やツボミ

百人ヒヤクニン

をとめをめて

冷え光る

板踏み鳴らし

えいやつと

えいえいやつと

打つ木太刀

拂ふ薙刀ナギナタ

ほそきスネ

ほそきカヒナ

その聲の

ひびきすがしき

日本ニツポン

ふるき國柄

ふるきみち

世々につたへて

百人のけふの

をとめが

その式に

れるよろしさ

そのみちを

めるカナしさ