蝶 〈B〉
わたしのうしろを
蝶(てう)が一つ
通(󠄁とほ)つていつた
春のまひるの
寂(さび)しさに
日暮 〈C〉
さびしき春(はる)の日暮(ぐれ)に
とのもにでて見れば
風(かぜ)ざうざうと吹(ふ)きて
さらにさびしや
若草も木の芽︀(め)も
なにやらん疲(つか)れ
風(かぜ)ざうざうと
吹(ふ)きてすぐるなり
空󠄁(あき)地につながれたる
斑牛はまだ幼(をさな)きか
ぬれてかぐろき瞳(ひとみ)あげ
入日の方眺(なが)むれど