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タル各債權者ニ左ノ書面ヲ送達スルコトヲ要ス
- 一 取得ノ原因、年月日、讓渡人及ヒ取得者ノ氏名、住所、抵當不動產ノ性質、所在、代價其他取得者ノ負擔ヲ記載シタル書面
- 二 抵當不動產ニ關スル登記簿ノ謄本但既ニ消滅シタル權利ニ關スル登記ハ之ヲ揭クルコトヲ要セス
- 三 債權者カ一个月內ニ次條ノ規定ニ從ヒ增價競賣ヲ請求セサルトキハ第三取得者ハ第一號ニ揭ケタル代價又ハ特ニ指定シタル金額ヲ債權ノ順位ニ從ヒテ弁濟又ハ供託スヘキ旨ヲ記載シタル書面
- 第三百八十四條
- 債權者カ前條ノ送達ヲ受ケタル後一个月內ニ增價競賣ヲ請求セサルトキハ第三取得者ノ提供ヲ承諾シタルモノト看做ス
- 增價競賣ハ若シ競賣ニ於テ第三取得者カ提供シタル金額ヨリ十分ノ一以上高價ニ抵當不動產ヲ賣却スルコト能ハサルトキハ十分ノ一ノ增價ヲ以テ自ラ其不動產ヲ買受クヘキ旨ヲ附言シ第三取得者ニ對シテ之ヲ請求スルコトヲ要ス
- 前項ノ場合ニ於テハ債權者ハ代價及ヒ費用ニ付キ擔保ヲ供スルコトヲ要ス
- 第三百八十五條
- 債權者カ增價競賣ヲ請求スルトキハ前條ノ期間內ニ債務者及ヒ抵當不動產ノ讓渡人ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
- 第三百八十六條
- 增價競賣ヲ請求シタル債權者ハ登記ヲ爲シタル他ノ債權者ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ其請求ヲ取消スコトヲ得ス
- 第三百八十七條
- 抵當權者カ第三百八十二條ニ定メタル期間內ニ第三取得者ヨリ債務ノ弁濟又ハ滌除ノ通知ヲ受ケサルトキハ抵當不動產ノ競賣ヲ請求スルコトヲ得
- 第三百八十八條
- 土地及ヒ其上ニ存スル建物カ同一ノ所有者ニ屬スル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵當ト爲シタルトキハ抵當權設定者ハ競賣ノ場合ニ付キ地上權ヲ設定シタルモノト看做ス但地代ハ當事者ノ請求ニ因リ裁判所之ヲ定ム
- 第三百八十九條
- 抵當權設定ノ後其設定者カ抵當地ニ建物ヲ築造シタルトキハ抵當權者ハ土地ト共ニ之ヲ競賣スルコトヲ得但其優先權ハ土地ノ代價ニ付テノミ之ヲ行フコトヲ得
- 第三百九十條
- 第三取得者ハ競買人ト爲ルコトヲ得
- 第三百九十一條
- 第三取得者カ抵當不動產ニ付キ必要費又ハ有益費ヲ出タシタルトキハ第百九十六條ノ區別ニ從ヒ不動產ノ代價ヲ以テ最モ先ニ其償還ヲ受クルコトヲ得
- 第三百九十二條
- 債權者カ同一ノ債權ノ擔保トシテ數個ノ不動產ノ上ニ抵當權ヲ有スル場合ニ於テ同時ニ其代價ヲ配當スヘキトキハ其各不動產ノ價額ニ準シテ其債權ノ負擔ヲ分ツ
- 或不動產ノ代價ノミヲ配當スヘキトキハ抵當權者ハ其代價ニ付キ債權ノ全部ノ弁濟ヲ受クルコトヲ得此場合ニ於テハ次ノ順位ニ在ル抵當權者ハ前項ノ規定ニ從ヒ右ノ抵當權者カ他ノ不動產ニ付キ弁濟ヲ受クヘキ金額ニ滿ツルマテ之ニ代位シテ抵當權ヲ行フコトヲ得
- 第三百九十三條
- 前條ノ規定ニ從ヒ代位ニ因リテ抵當權ヲ行フ者ハ其抵當權ノ登記ニ其代位ヲ附記スルコトヲ得
- 第三百九十四條
- 抵當權者ハ抵當不動產ノ代價ヲ以テ弁濟ヲ受ケサル債權ノ部分ニ付テノミ他ノ財產ヲ以テ弁濟ヲ受クルコトヲ得
- 前項ノ規定ハ抵當不動產ノ代價ニ先チテ他ノ財產ノ代價ヲ配當スヘキ場合ニハ之ヲ適用セス但他ノ各債權者ハ抵當權者ヲシテ前項ノ規定ニ從ヒ弁濟ヲ受ケシムル爲メ之ニ配當スヘキ金額ノ供託ヲ請求スルコトヲ得
- 第三百九十五條
- 第六百二條ニ定メタル期間ヲ超エサル賃貸借ハ抵當權ノ登記後ニ登記シタルモノト雖モ之ヲ以テ抵當權者ニ對抗スルコトヲ得但其賃貸借カ抵當權者ニ損害ヲ及ホストキハ裁判所ハ抵當權者ノ請求ニ因リ其解除ヲ命スルコトヲ得
- 第三節 抵當權ノ消滅
- 第三百九十六條
- 抵當權ハ債務者及ヒ抵當權設定者ニ對シテハ其擔保スル債權ト同時ニ非サレハ時効ニ因リテ消滅セス
- 第三百九十七條
- 債務者又ハ抵當權設定者ニ非サル者カ抵當不動產ニ付キ取得時効ニ必要ナル條件ヲ具備セル占有ヲ爲シタルトキハ抵當權ハ之ニ因リテ消滅ス
- 第三百九十八條
- 地上權又ハ永小作權ヲ抵當ト爲シタル者カ其權利ヲ抛棄シタルモ之ヲ以テ抵當權者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三編 債權
- 第一章 總則
- 第一節 債權ノ目的
- 第三百九十九條
- 債權ハ金錢ニ見積ルコトヲ得サルモノト雖モ之ヲ以テ其目的ト爲スコトヲ得
- 第四百條
- 債權ノ目的カ特定物ノ引渡ナルトキハ債務者ハ其引渡ヲ爲スマテ善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ其物ヲ保存スルコトヲ要ス
- 第四百一條
- 債權ノ目的物ヲ指示スルニ種類ノミヲ以テシタル場合ニ於テ法律行爲ノ性質又ハ當事者ノ意思ニ依リテ其品質ヲ定ムルコト能ハサルトキハ債務者ハ中等ノ品質ヲ有スル物ヲ給付スルコトヲ要ス
- 前項ノ場合ニ於テ債務者カ物ノ給付ヲ爲スニ必要ナル行爲ヲ完了シ又ハ債權者ノ同意ヲ得テ其給付スヘキ物ヲ指定シタルトキハ爾後其物ヲ以テ債權ノ目的物トス
- 第四百二條
- 債權ノ目的物カ金錢ナルトキハ債務者ハ其選擇ニ從ヒ各種ノ通貨ヲ以テ弁濟ヲ爲スコトヲ得但特種ノ通貨ノ給付ヲ以テ債權ノ目的ト爲シタルトキハ此限ニ在ラス
- 債權ノ目的タル特種ノ通貨カ弁濟期ニ於テ强制通用ノ効力ヲ失ヒタルトキハ債務者ハ他ノ通貨ヲ以テ弁濟ヲ爲スコトヲ要ス
- 前二項ノ規定ハ外國ノ通貨ノ給付ヲ以テ債權ノ目的ト爲シタル場合ニ之ヲ準用ス
- 第四百三條
- 外國ノ通貨ヲ以テ債權額ヲ指定シタルトキハ債務者ハ履行地ニ於ケル爲替相場ニ依リ日本ノ通貨ヲ以テ弁濟ヲ爲スコトヲ得
- 第四百四條
- 利息ヲ生スヘキ債權ニ付キ別段ノ意思表示ナキトキハ其利率ハ年五分トス
- 第四百五條
- 利息カ一年分以上延滯シタル場合ニ於テ債權者ヨリ催吿ヲ爲スモ債務者カ其利息ヲ拂ハサルトキハ債權者ハ之ヲ元本ニ組入ルルコトヲ得
- 第四百六條
- 債權ノ目的カ數個ノ給付中選擇ニ依リテ定マルヘキトキハ其選擇權ハ債務者ニ屬ス
- 第四百七條
- 前條ノ選擇權ハ相手方ニ對スル意思表示ニ依リテ之ヲ行フ
- 前項ノ意思表示ハ相手方ノ承諾アルニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス
- 第四百八條
- 債權カ弁濟期ニ在ル場合ニ於テ相手方ヨリ相當ノ期間ヲ定メテ催吿ヲ爲スモ選擇權ヲ有スル當事者カ其期間內ニ選擇ヲ爲ササルトキハ其選擇權ハ相手方ニ屬ス
- 第四百九條
- 第三者カ選擇ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ其選擇ハ債權者又ハ債務者ニ對スル意思表示ニ依リテ之ヲ爲ス
- 第三者カ選擇ヲ爲スコト能ハス又ハ之ヲ欲セサルトキハ選擇權ハ債務者ニ屬ス
- 第四百十條
- 債權ノ目的タルヘキ給付中始ヨリ不能ナルモノ又ハ後ニ至リテ不能ト爲リタルモノアルトキハ債權ハ其殘存スルモノニ付キ存在ス
- 選擇權ヲ有セサル當事者ノ過失ニ因リテ給付カ不能ト爲リタルトキハ前項ノ規定ヲ適用セス
- 第四百十一條
- 選擇ハ債權發生ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス但第三者ノ權利ヲ害スルコトヲ得ス
- 第二節 債權ノ効力
- 第四百十二條
- 債務ノ履行ニ付キ確定期限アルトキハ債務者ハ其期限ノ到來シタル時ヨリ遲滯ノ責ニ任ス
- 債務ノ履行ニ付キ不確定期限アルトキハ債務者ハ其期限ノ到來シタルコトヲ知リタル時ヨリ遲滯ノ責ニ任ス
- 債務ノ履行ニ付キ期限ヲ定メサリシトキハ債務者ハ履行ノ請求ヲ受ケタル時ヨリ遲滯ノ責ニ任ス
- 第四百十三條
- 債權者カ債務ノ履行ヲ受クルコトヲ拒ミ又ハ之ヲ受クルコト能ハサルトキハ其債權者ハ履行ノ提供アリタル時ヨリ遲滯ノ責ニ任ス
- 第四百十四條
- 債務者カ任意ニ債務ノ履行ヲ爲ササルトキハ債權者ハ其强制履行ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但債務ノ性質カ之ヲ許ササルトキハ此限ニ在ラス
- 債務ノ性質カ强制履行ヲ許ササル場合ニ於テ其債務カ作爲ヲ目的トスルトキハ債權者ハ債務者ノ費用ヲ以テ第三者ニ之ヲ爲サシムルコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但法律行爲ヲ目的トスル債務ニ付テハ裁判ヲ以テ債務者ノ意思表示ニ代フルコトヲ得
- 不作爲ヲ目的トスル債務ニ付テハ債務者ノ費用ヲ以テ其爲シタルモノヲ除却シ且將來ノ爲メ適當ノ處分ヲ爲スコトヲ請求スルコトヲ得
- 前三項ノ規定ハ損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
- 第四百十五條
- 債務者カ其債務ノ本旨ニ從ヒタル履行ヲ爲ササルトキハ債權者ハ其損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得債務者ノ責ニ歸スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ爲スコト能ハサルニ至リタルトキ亦同シ
- 第四百十六條
- 損害賠償ノ請求ハ債務ノ不履行ニ因リテ通常生スヘキ損害ノ賠償ヲ爲サシムルヲ以テ其目的トス
- 特別ノ事情ニ因リテ生シタル損害ト雖モ當事者カ其事情ヲ豫見シ又ハ豫見スルコトヲ得ヘカリシトキハ債權者ハ其賠償ヲ請求スルコトヲ得
- 第四百十七條
- 損害賠償ハ別段ノ意思表示ナキトキハ金錢ヲ以テ其額ヲ定ム
- 第四百十八條
- 債務ノ不履行ニ關シ債權者ニ過失アリタルトキハ裁判所ハ損害賠償ノ責任及ヒ其金額ヲ定ムルニ付キ之ヲ斟酌ス
- 第四百十九條
- 金錢ヲ目的トスル債務ノ不履行ニ付テハ其損害賠償ノ額ハ法定利率ニ依リテ之ヲ定ム但約定利率カ法定利率ニ超ユルトキハ約定利率ニ依ル
- 前項ノ損害賠償ニ付テハ債權者ハ損害ノ證明ヲ爲スコトヲ要セス又債務者ハ不可抗力ヲ以テ抗弁ト爲スコトヲ得ス
- 第四百二十條
- 當事者ハ債務ノ不履行ニ付キ損害賠償ノ額ヲ豫定スルコトヲ得此場合ニ於テハ裁判所ハ其額ヲ增減スルコトヲ得ス
- 賠償額ノ豫定ハ履行又ハ解除ノ請求ヲ妨ケス
- 違約金ハ之ヲ賠償額ノ豫定ト推定ス
- 第四百二十一條
- 前條ノ規定ハ當事者カ金錢ニ非サルモノヲ以テ損害ノ賠償ニ充ツヘキ旨ヲ豫定シタル場合ニ之ヲ準用ス
- 第四百二十二條
- 債權者カ損害賠償トシテ其債權ノ目的タル物又ハ權利ノ價額ノ全部ヲ受ケタルトキハ債務者ハ其物又ハ權利ニ付キ當然債權者ニ代位ス
- 第四百二十三條
- 債權者ハ自己ノ債權ヲ保全スル爲メ其債務者ニ屬スル權利ヲ行フコトヲ得但債務者ノ一身ニ專屬スル權利ハ此限ニ在ラス
- 債權者ハ其債權ノ期限カ到來セサル間ハ裁判上ノ代位ニ依ルニ非サレハ前項ノ權利ヲ行フコトヲ得ス但保存行爲ハ此限ニ在ラス
- 第四百二十四條
- 債權者ハ債務者カ其債權者ヲ害スルコトヲ知リテ爲シタル法律行爲ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但其行爲ニ因リテ利益ヲ受ケタル者又ハ轉得者カ其行爲又ハ轉得ノ當時債權者ヲ害スヘキ事實ヲ知ラサ