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- 前三項ノ規定ハ不動產以外ノ財產ノ代價ニ先チテ不動產ノ代價ヲ配當シ又ハ他ノ不動產ノ代價ニ先チテ特別擔保ノ目的タル不動產ノ代價ヲ配當スヘキ場合ニハ之ヲ適用セス
- 第三百三十六條
- 一般ノ先取特權ハ不動產ニ付キ登記ヲ爲ササルモ之ヲ以テ特別擔保ヲ有セサル債權者ニ對抗スルコトヲ妨ケス但登記ヲ爲シタル第三者ニ對シテハ此限ニ在ラス
- 第三百三十七條
- 不動產保存ノ先取特權ハ保存行爲完了ノ後直チニ登記ヲ爲スニ因リテ其効力ヲ保存ス
- 第三百三十八條
- 不動產工事ノ先取特權ハ工事ヲ始ムル前ニ其費用ノ豫算額ヲ登記スルニ因リテ其効力ヲ保存ス但工事ノ費用カ豫算額ヲ超ユルトキハ先取特權ハ其超過額ニ付テハ存在セス
- 工事ニ因リテ生シタル不動產ノ增價額ハ配當加入ノ時裁判所ニ於テ選任シタル鑑定人ヲシテ之ヲ評價セシムルコトヲ要ス
- 第三百三十九條
- 前二條ノ規定ニ從ヒテ登記シタル先取特權ハ抵當權ニ先チテ之ヲ行フコトヲ得
- 第三百四十條
- 不動產賣買ノ先取特權ハ賣買契約ト同時ニ未タ代價又ハ其利息ノ弁濟アラサル旨ヲ登記スルニ因リテ其効力ヲ保存ス
- 第三百四十一條
- 先取特權ノ効力ニ付テハ本節ニ定メタルモノノ外抵當權ニ關スル規定ヲ準用ス
- 第九章 質權
- 第一節 總則
- 第三百四十二條
- 質權者ハ其債權ノ擔保トシテ債務者又ハ第三者ヨリ受取リタル物ヲ占有シ且其物ニ付キ他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ弁濟ヲ受クル權利ヲ有ス
- 第三百四十三條
- 質權ハ讓渡スコトヲ得サル物ヲ以テ其目的ト爲スコトヲ得ス
- 第三百四十四條
- 質權ノ設定ハ債權者ニ其目的物ノ引渡ヲ爲スニ因リテ其効力ヲ生ス
- 第三百四十五條
- 質權者ハ質權設定者ヲシテ自己ニ代ハリテ質物ノ占有ヲ爲サシムルコトヲ得ス
- 第三百四十六條
- 質權ハ元本、利息、違約金、質權實行ノ費用、質物保存ノ費用及ヒ債務ノ不履行又ハ質物ノ隱レタル瑕疵ニ因リテ生シタル損害ノ賠償ヲ擔保ス但設定行爲ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
- 第三百四十七條
- 質權者ハ前條ニ揭ケタル債權ノ弁濟ヲ受クルマテハ質物ヲ留置スルコトヲ得但此權利ハ之ヲ以テ自己ニ對シ優先權ヲ有スル債權者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三百四十八條
- 質權者ハ其權利ノ存續期間內ニ於テ自己ノ責任ヲ以テ質物ヲ轉質ト爲スコトヲ得此場合ニ於テハ轉質ヲ爲ササレハ生セサルヘキ不可抗力ニ因ル損失ニ付テモ亦其責ニ任ス
- 第三百四十九條
- 質權設定者ハ設定行爲又ハ債務ノ弁濟期前ノ契約ヲ以テ質權者ニ弁濟トシテ質物ノ所有權ヲ取得セシメ其他法律ニ定メタル方法ニ依ラスシテ質物ヲ處分セシムルコトヲ約スルコトヲ得ス
- 第三百五十條
- 第二百九十六條乃至第三百條及ヒ第三百四條ノ規定ハ質權ニ之ヲ準用ス
- 第三百五十一條
- 他人ノ債務ヲ擔保スル爲メ質權ヲ設定シタル者カ其債務ヲ弁濟シ又ハ質權ノ實行ニ因リテ質物ノ所有權ヲ失ヒタルトキハ保證債務ニ關スル規定ニ從ヒ債務者ニ對シテ求償權ヲ有ス
- 第二節 動產質
- 第三百五十二條
- 動產質權者ハ繼續シテ質物ヲ占有スルニ非サレハ其質權ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三百五十三條
- 動產質權者カ質物ノ占有ヲ奪ハレタルトキハ占有回收ノ訴ニ依リテノミ其質物ヲ回復スルコトヲ得
- 第三百五十四條
- 動產質權者カ其債權ノ弁濟ヲ受ケサルトキハ正當ノ理由アル場合ニ限リ鑑定人ノ評價ニ從ヒ質物ヲ以テ直チニ弁濟ニ充ツルコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得此場合ニ於テハ質權者ハ豫メ債務者ニ其請求ヲ通知スルコトヲ要ス
- 第三百五十五條
- 數個ノ債權ヲ擔保スル爲メ同一ノ動產ニ付キ質權ヲ設定シタルトキハ其質權ノ順位ハ設定ノ前後ニ依ル
- 第三節 不動產質
- 第三百五十六條
- 不動產質權者ハ質權ノ目的タル不動產ノ用方ニ從ヒ其使用及ヒ收益ヲ爲スコトヲ得
- 第三百五十七條
- 不動產質權者ハ管理ノ費用ヲ拂ヒ其他不動產ノ負擔ニ任ス
- 第三百五十八條
- 不動產質權者ハ其債權ノ利息ヲ請求スルコトヲ得ス
- 第三百五十九條
- 前三條ノ規定ハ設定行爲ニ別段ノ定アルトキハ之ヲ適用セス
- 第三百六十條
- 不動產質ノ存續期間ハ十年ヲ超ユルコトヲ得ス若シ之ヨリ長キ期間ヲ以テ不動產質ヲ設定シタルトキハ其期間ハ之ヲ十年ニ短縮ス
- 不動產質ノ設定ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ十年ヲ超ユルコトヲ得ス
- 第三百六十一條
- 不動產質ニハ本節ノ規定ノ外次章ノ規定ヲ準用ス
- 第四節 權利質
- 第三百六十二條
- 質權ハ財產權ヲ以テ其目的ト爲スコトヲ得
- 前項ノ質權ニハ本節ノ規定ノ外前三節ノ規定ヲ準用ス
- 第三百六十三條
- 債權ヲ以テ質權ノ目的ト爲ス場合ニ於テ其債權ノ證書アルトキハ質權ノ設定ハ其證書ノ交付ヲ爲スニ因リテ其効力ヲ生ス
- 第三百六十四條
- 指名債權ヲ以テ質權ノ目的ト爲シタルトキハ第四百六十七條ノ規定ニ從ヒ第三債務者ニ質權ノ設定ヲ通知シ又ハ第三債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ第三債務者其他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 前項ノ規定ハ記名ノ株式ニハ之ヲ適用セス
- 第三百六十五條
- 記名ノ社債ヲ以テ質權ノ目的ト爲シタルトキハ社債ノ讓渡ニ關スル規定ニ從ヒ會社ノ帳簿ニ質權ノ設定ヲ記入スルニ非サレハ之ヲ以テ會社其他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三百六十六條
- 指圖債權ヲ以テ質權ノ目的ト爲シタルトキハ其證書ニ質權ノ設定ヲ裏書スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三百六十七條
- 質權者ハ質權ノ目的タル債權ヲ直接ニ取立ツルコトヲ得
- 債權ノ目的物カ金錢ナルトキハ質權者ハ自己ノ債權額ニ對スル部分ニ限リ之ヲ取立ツルコトヲ得
- 右ノ債權ノ弁濟期カ質權者ノ債權ノ弁濟期前ニ到來シタルトキハ質權者ハ第三債務者ヲシテ其弁濟金額ヲ供託セシムルコトヲ得此場合ニ於テハ質權ハ其供託金ノ上ニ存在ス
- 債權ノ目的物カ金錢ニ非サルトキハ質權者ハ弁濟トシテ受ケタル物ノ上ニ質權ヲ有ス
- 第三百六十八條
- 質權者ハ前條ノ規定ニ依ル外民事訴訟法ニ定ムル執行方法ニ依リテ質權ノ實行ヲ爲スコトヲ得
- 第十章 抵當權
- 第一節 總則
- 第三百六十九條
- 抵當權者ハ債務者又ハ第三者カ占有ヲ移サスシテ債務ノ擔保ニ供シタル不動產ニ付キ他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ弁濟ヲ受クル權利ヲ有ス
- 地上權及ヒ永小作權モ亦之ヲ抵當權ノ目的ト爲スコトヲ得此場合ニ於テハ本章ノ規定ヲ準用ス
- 第三百七十條
- 抵當權ハ抵當地ノ上ニ存スル建物ヲ除ク外其目的タル不動產ニ附加シテ之ト一體ヲ成シタル物ニ及フ但設定行爲ニ別段ノ定アルトキ及ヒ第四百二十四條ノ規定ニ依リ債權者カ債務者ノ行爲ヲ取消スコトヲ得ル場合ハ此限ニ在ラス
- 第三百七十一條
- 前條ノ規定ハ果實ニハ之ヲ適用セス但抵當不動產ノ差押アリタル後又ハ第三取得者カ第三百八十一條ノ通知ヲ受ケタル後ハ此限ニ在ラス
- 第三取得者カ第三百八十一條ノ通知ヲ受ケタルトキハ其後一年內ニ抵當不動產ノ差押アリタル場合ニ限リ前項但書ノ規定ヲ適用ス
- 第三百七十二條
- 第二百九十六條、第三百四條及ヒ第三百五十一條ノ規定ハ抵當權ニ之ヲ準用ス
- 第二節 抵當權ノ効力
- 第三百七十三條
- 數個ノ債權ヲ擔保スル爲メ同一ノ不動產ニ付キ抵當權ヲ設定シタルトキハ其抵當權ノ順位ハ登記ノ前後ニ依ル
- 第三百七十四條
- 抵當權者カ利息其他ノ定期金ヲ請求スル權利ヲ有スルトキハ其滿期ト爲リタル最後ノ二年分ニ付テノミ其抵當權ヲ行フコトヲ得但其以前ノ定期金ニ付テモ滿期後特別ノ登記ヲ爲シタルトキハ其登記ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ妨ケス
- 第三百七十五條
- 抵當權者ハ其抵當權ヲ以テ他ノ債權ノ擔保ト爲シ又同一ノ債務者ニ對スル他ノ債權者ノ利益ノ爲メ其抵當權若クハ其順位ヲ讓渡シ又ハ之ヲ抛棄スルコトヲ得
- 前項ノ場合ニ於テ抵當權者カ數人ノ爲メニ其抵當權ノ處分ヲ爲シタルトキハ其處分ノ利益ヲ受クル者ノ權利ノ順位ハ抵當權ノ登記ニ附記ヲ爲シタル前後ニ依ル
- 第三百七十六條
- 前條ノ場合ニ於テハ第四百六十七條ノ規定ニ從ヒ主タル債務者ニ抵當權ノ處分ヲ通知シ又ハ其債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ其債務者、保證人、抵當權設定者及ヒ其承繼人ニ對抗スルコトヲ得ス
- 主タル債務者カ前項ノ通知ヲ受ケ又ハ承諾ヲ爲シタルトキハ抵當權ノ處分ノ利益ヲ受クル者ノ承諾ナクシテ爲シタル弁濟ハ之ヲ以テ其受益者ニ對抗スルコトヲ得ス
- 第三百七十七條
- 抵當不動產ニ付キ所有權又ハ地上權ヲ買受ケタル第三者カ抵當權者ノ請求ニ應シテ之ニ其代價ヲ弁濟シタルトキハ抵當權ハ其第三者ノ爲メニ消滅ス
- 第三百七十八條
- 抵當不動產ニ付キ所有權、地上權又ハ永小作權ヲ取得シタル第三者ハ第三百八十二條乃至第三百八十四條ノ規定ニ從ヒ抵當權者ニ提供シテ其承諾ヲ得タル金額ヲ拂渡シ又ハ之ヲ供託シテ抵當權ヲ滌除スルコトヲ得
- 第三百七十九條
- 主タル債務者、保證人及ヒ其承繼人ハ抵當權ノ滌除ヲ爲スコトヲ得ス
- 第三百八十條
- 停止條件附第三取得者ハ條件ノ成否未定ノ間ハ抵當權ノ滌除ヲ爲スコトヲ得ス
- 第三百八十一條
- 抵當權者カ其抵當權ヲ實行セント欲スルトキハ豫メ第三百七十八條ニ揭ケタル第三取得者ニ其旨ヲ通知スルコトヲ要ス
- 第三百八十二條
- 第三取得者ハ前條ノ通知ヲ受クルマテハ何時ニテモ抵當權ノ滌除ヲ爲スコトヲ得
- 第三取得者カ前條ノ通知ヲ受ケタルトキハ一个月內ニ次條ノ送達ヲ爲スニ非サレハ抵當權ノ滌除ヲ爲スコトヲ得ス
- 前條ノ通知アリタル後ニ第三百七十八條ニ揭ケタル權利ヲ取得シタル第三者ハ前項ノ第三取得者カ滌除ヲ爲スコトヲ得ル期間內ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得
- 第三百八十三條
- 第三取得者カ抵當權ヲ滌除セント欲スルトキハ登記ヲ爲シ