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の議院で、ぜんたいの議員の三分の二以上の賛成で、憲法をかえることにきめます。これを、憲法改正の「発議」というのです。それからこれを国民に示して、賛成か反対かを投票してもらいます。そうしてぜんぶの投票の半分以上が賛成したとき、はじめて憲法の改正を、国民が承知したことになります。これを国民の「承認」といいます。国民の承認した改正は、天皇陛下が国民の名で、これを国に発表されます。これを改正の「公布」といいます。あたらしい憲法は、国民がつくったもので、国民のものですから、これをかえたときも、国民の名義で発表するのです。

十五 最高法規

 このおはなしのいちばんはじめに申しましたように、「最高法規」とは、国でいちばん高い位にある規則で、つまり憲法のことです。この最高法規としての憲法には、国の仕事のやりかたをきめた規則と、国民の基本的人権をきめた規則と、二つあることもおはなししました。この中で、国民の基本的人権は、これまでかるく考えられていましたので、憲法第九十七条は、おごそかなことばで、この基本的人権は、人間がながいあいだ力をつくしてえたものであり、これまでいろいろのことにであってきたえあげられたものであるから、これからもけっして侵すことのできない永久の権利であると記しております。

 憲法は、国の最高法規ですから、この憲法できめられてあることにあわないものは、法律でも、命令でも、なんでも、いっさい規則としての力がありません。これも憲法がはっきりきめています。

 このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、国務大臣も、国会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の国がほかの国ととりきめた約束(これを「条約」といいます)も、国と国とが交際してゆくについてできた規則(これを「国際法規」といいます)も、日本の国は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。

 みなさん、あたらしい憲法は、日本国民がつくった、日本国民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の国がさかえるようにしてゆこうではありませんか。

おわり