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 みなさん、国民は、政党のことをよく知らなけれはなりません。じぶんのすきな政党にはいり、またじぶんたちですきな政党をつくるのは、国民の自由で、憲法は、これを「基本的人権」としてみとめています。だれもこれをさまたげることはできません。

十 内閣

「内閣」は、国の行政をうけもっている機関であります。行政ということは、まえに申しましたように、「立法」すなわち国の規則をこしらえることと、「司法」すなわち裁判をすることをのぞいたあとの、国の仕事をまとめていうのです。国会は、国民の代表になって、国を治めてゆく機関ですが、たくさんの議員でできているし、また一年中開いているわけにもゆきませんから、日常の仕事やこまごました仕事は、別に役所をこしらえて、こゝでとりあつかってゆきます。その役所のいちばん上にあるのが内閣です。

 内閣は、内閣総理大臣と国務大臣とからできています。「内閣総理大臣」は内閣の長で、内閣ぜんたいをまとめてゆく、大事な役目をするのです。それで、内閣総理大臣にだれがなるかということは、たいへん大事なことですが、こんどの憲法は、内閣総理大臣は、国会の議員の中から、国会がきめて、天皇陛下に申しあげ、天皇陛下が.これをお命じになることになっています。国会できめるとき、衆議院と参議院の意見が分かれたときは、けっきょく衆議院の意見どおりにきめることになります。内閣総理大臣を国会できめるということは、衆議院でたくさんの議員をもっている政党の意見で、きまることになりますから、内閣総理大臣は、政党からでることになります。

 また、ほかの国務大臣は、内閣総理大臣が、自分でえらんで国務大臣にします。しかし、国務大臣の数の半分以上は、国会の議員からえらばなければなりません。国務大臣は国の行政をうけもつ役目がありますが、この国務大臣の中から、大蔵省、文部省、厚生省、商工省などの国の役所の長になって、その役所の仕事を分けてうけもつ人がきまります。これを「各省大臣」といいます。つまり国務大臣の中には、この各省大臣になる人と、たゞ国の仕事ぜんたいをみてゆく国務大臣とがあるわけです。内閣総理大臣が政党からでる以上、国務大臣もじぶんと同じ政党の人からとることが、