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 しかし国会には、国の規則をこしらえることのほかに、もう一つ大事な役目があります。それは、内閣や、その下にある、国のいろいろな役所の仕事のやりかたを、監督することです。これらの役所の仕事は、まえに申しました「行政」というはたらきですから、国会は、行政を監督して、まちがいのないようにする役目をしているのです。これで、国民の代表者が国の仕事を見はっていることになるのです。これも民主主義の国の治めかたであります。

 日本の国会は「衆議院」と「参議院」との二つからできています。その一つ一つを「議院」といいます。このように、国会が二つの議院からできているものを「二院制度」というのです。国によっては、一つの議院しかないものもあり、これを「一院制度」というのです。しかし、多くの国の国会は、二つの議院からできています。国の仕事はこの二つの議院がいっしょにきめるのです。

 なぜ二つの議院がいるのでしょう。みなさんは、野球や、そのほかのスポーツでいう「バック・アップ」ということをごぞんじですか。一人の選手が球を取りあつかっているとき、もう一人の選手が、うしろにまわって、まちがいのないように守ることを「バック・アップ」といいます。国会は、国の大事な仕事をするのですから、衆議院だけでは、まちがいが起るといけないから、参議院が「バック・アップ」するはたらきをするのです。たゞし、スポーツのほうでは、選手がおたがいに「バック・アップ」しますけれども、国会では、おもなはたらきをするのは衆議院であって、参議院は、たゞ衆議院を「バック・アップ」するだけのはたらきをするのです。したがって、衆議院のほうが、参議院よりも、強い力を与えられているのです。この強い力をもった衆議院を「第一院」といい、参議院を「第二院」といいます。なぜ衆議院のほうに強い力があるのでしょう。そのわけは次のとおりです。

 衆議院の選挙は、四年ごとに行われます。衆議院の議員は、四年間つとめるわけです。しかし、衆議院の考えが国民の考えを正しくあらわしていないと内閣が考えたときなどには、内閣は、国民の意見を知るために、いつでも天皇陛下に申しあげて、衆議院の選挙のやりなおしをしていただくことができます。これを衆議院の「解散」というのです。そうして、この解散のあとの選挙で、国民がどういう人をじぶんの代表にえらぶかということによって、国民のあたらしい意見が、あたらしい衆議院にあら