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基具、一條中納言公藤、花山院中納言長雅、左衞門督通賴、中宮權大夫隆顯、大炊御門中納言信嗣、前源宰相有資、衣笠宰相中將經平、左大辨宰相經俊、新宰相中將具氏、別當公孝、堀川三位中將具守、富小路三位中將公雄、皆御階の東に着きたまふ。西の第二の間より又前左大臣實雄、二條大納言經輔、前源大納言雅家、中宮大夫雅忠、藤大納言爲氏、皇后宮大夫定實、四條大納言隆行、帥中納言經任、このほかの上達部にしひがしの中門のらう、それより下ざますいわたどのうちはしなどまで着きあまれり。みななほしにいろいろのきぬ重ね給へり。時なりて舞人どもまゐる。實冬の中將からおり物のさくらの狩衣、むらさきのこきうすき、きにて櫻を織れり。あかぢのにしきのうはぎ、紅のにほひの三つぎぬ、同じひとへ、しゞらの薄色のさしぬき、人よりはすこしねびたりしもあなきよげと見えたり〈二字てイ〉。大炊御門中將冬すけといひしにや。さうぞくさきのにかはらず、かりぎぬはひら織ものなり〈きイ有〉。花山院中將家長〈右大將の御子〉魚綾の山吹のかりぎぬ柳さくらをぬひものにしたり。紅のうちぎぬをかゞやくばかりだみかへして萠黃のにほひの三つぎぬ、紅の三重のひとへ、うき織物のむらさきのさしぬきに、さくらをぬひものにしたるめづらしくうつくしく見ゆ。花山院の少將たゞすゑは〈諸繼の御子なり。〉さくらのむすびかりぎぬ、白きいとにて水をひまなくむすびたるうへに櫻柳をそれもむすびてつけたるなまめかしくえんなり。赤地のにしきのうはぎ、かねの文をおく。紅の二つぎぬ同じひとへ紫のさしぬき、これも柳櫻をぬひものにいろいろの絲にてしたり。中宮權亮少將公重藤〈實藤の大納言の子〉の秋、唐織物の櫻萠黃のかりぎぬ、紅のうちぎぬ、紫の匂ひの三つぎぬ、紅のひとへ、さしぬき例の紫に櫻