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し聞え給ふもことわりになむ。式部卿の宮聞しめして「今はしか今めかしき人をわたしてもてかしづかむかたすみに、人わろくてそひ物し給はむも人ぎゝやさしかるべし。おのがあらむこなたはいと人笑へなるさまに隨ひ靡かでも物し給ひなむ」とのたまひて、宮のひんがしの對をはらひしつらひて渡し奉らむとおぼしの給ふ。親の御あたりといひながら今は限りの身にて立ちかへり見え奉らむことゝ思ひ亂れ給ふに、いとゞ御心もあやまりてうちはへ伏し煩ひ給ふ。本性いとしづかに心よくこめき給へる人の、時々心あやまりして人に疎まれぬべきことなむ打ちまじり給ひける。すまひなどの怪しうしどけなく物のきよらもなくやつしていとうもれいたくもてなし給へるを、玉を磨ける目うつしに心もとまらねど、年頃の志ひきかふるものならねば心にはいと哀と思ひ聞え給ふ。「昨日今日のいとあさはかなる人の御なからひだに、よろしききはになれば皆思ひのどむる方ありてこそ見はつなれ。いと身も苦しげにもてなし給へれば聞ゆべき事もうち出で聞えにくゝなむ。年頃契り聞ゆることにはあらずや。世の人にも似ね御有樣を見奉りはてむとこそはこゝら思ひしづめつゝ過ぐしくるに、えさしもありはつまじき御心おきてにおぼしうとむな。をさなき人々も侍れば、とざまかうざまにつけておろかにはあらじ」と聞えわたるを、女の御心のみだりがはしきまゝにかく恨みわたり給ふ。「一わたり見定め給はぬ程さもありぬべき事なれど任せてこそ今しばし御覽じはてめ。宮の聞しめしうとみてさわやかにふと渡し奉りてむとおぼしの給ふなむかへりていとかるがるしき。誠におぼし置きつる事にやあらむ、暫しかうじし給ふべきに