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Page:Kokkaron1905.djvu/75

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の內に發生せる意志ならざる可らず。此意志たるや畢竟人間の意志なり。人間の意志が如何なる進路を經て國家の意志となるか。吾人を以て之を見るに主權者の意志の軌道によりて發生せる者は國家組織內の意志にして隨て國家の意志と謂ふべきなり。今例を以て之を明にせむ。一個人の意志に就て之を論ぜんに、個人に大なる意志あり、其中に小なる意志あり。例へば今食事をなさんとするは大なる意志なり。起ちて一步一步足を動かすは小なる意志なり。小なる意志は大なる意志と矛楯せざるのみならず。其內に豫想せられ居るなり。一團體は「ホッブス」の言へる如